ハルシオン錠

ハルシオン錠(一般名:トリアゾラム)は1983年に発売された睡眠薬で、ベンゾジアゼピン系という睡眠薬の代表選手団に属します。

ハルシオンの効果の強さや作用機序、作用時間、他の睡眠薬との比較などを紹介します。


ハルシオンはどんな特徴のある睡眠薬?

ハルシオンの最大の特徴は、即効性に優れ、効果が強めで実感が湧きやすいところにあります。

通常、服用してから15分程度で眠気を感じ始めます。(1.2時間で血中濃度が最大に達します。)

効果発現の速さはベンゾジアゼピン系の睡眠薬の中で最も速いおくすりの1つで、入眠障害(なかなか寝付けない)タイプの不眠に良く効くお薬です。

欠点としては、急激に効き始めるため、せん妄状態や一過性前向性健忘を起こしやすいことがあります。

せん妄や一過性健忘とは、ハルシオン服用後に自分では覚えてないんだけど出歩いたりしゃべったりというような状態で、中途半端な覚醒状態を作ってしまうことが原因です。

また、ハルシオンは半減期が短く、効果も強めであるため耐性・依存性のリスクがやや高いのもデメリットです。

ハルシオンは即効性がある睡眠薬ですが、このことは逆に犯罪などに使われやすい側面を持ち、イギリスやオランダ、ノルウェー、フィンランドなどではハルシオンは発売中止となっています。

ハルシオンの用法と強さ

効能と用法
効能又は効果

  1. 不眠症
  2. 麻酔前投薬

用法及び用量

    1. 不眠症

通常成人には1回トリアゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。高度な不眠症には0.5mgを投与することができる。なお、年齢・症状・疾患などを考慮して適宜増減するが、高齢者には1回0.125mg~0.25mgまでとする。

    1. 麻酔前投薬

手術前夜:通常成人には1回トリアゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する。なお、年齢・症状・疾患などを考慮し、必要に応じ0.5mgを投与することができる。

ハルシオンは「効果がやや強め」の睡眠薬です。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬はどれも強さに差はないとも言われており、「効果がやや強め」とは内服後に比較的効果を実感しやすいという意味です。

ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は強さに関しては、一般的にはどれも大きな差はありません(ただ実態としてはベンゾジアゼピン系の方が効果を実感しやすく、薬によって差があるととらえている患者さんのほうが多いでしょう)。

実際、薬によって違うのは「血中濃度がピークになる時間帯」や「効果が続く時間」です。

睡眠薬はどれもピーク時の強さは同程度です。

ハルシオンは0.125mg~0.5mgまでの間の量で使うことが多いのですが、量を増やせばそれだけ効果は強くなります。

まずは0.125mgや0.25mgなどの少量から開始し、効果が不十分な場合に限り0.5mgを使用します。

ハルシオンの作用時間と半減期

ハルシオンの半減期は約2.9時間です。

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は作用時間で大きく4種類に分類されています。

  • 超短時間型・・・半減期が2-4時間
  • 短時間型 ・・・半減期が6-10時間
  • 中時間型 ・・・半減期が12-24時間
  • 長時間型 ・・・半減期が24時間以上

半減期というのは、その薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間の事で、そのお薬の効果・作用時間の目安になります。

ハルシオンは「超短時間型」の睡眠薬に分類され、服薬してから1.2時間ほどで血中濃度が最高値になり、半減期は約2.9時間とされています。

飲んでから1時間ほどで効果が最大になるため即効性に優れますが、半減期も短いため持続力はありません。

ですから寝付けないタイプの不眠(入眠障害)に適する睡眠薬です。

中途覚醒(夜中に何度も起きてしまう)タイプの不眠では、効果作用時間が短いため改善につながらないことが多いでしょう。

抗不安薬半減期最高濃度到達
グランダキシン短い(<1h)1h
リーゼ短い(6h)1h
デパス短い(6h)3h
ソラナックス
コンスタン
中(14h)2h
ワイパックス中(12h)2h
レキソタン
セニラン
中(20h)1h
セパゾン中(-21h)-4h
セレナール長い(56h)8h
バランス
コントール
長い(-24h)3h
セルシン
ホリゾン
長い(50h)1h
リボトリール
ランドセン
長い(27h)2h
メイラックス超長時間(-200h)1h
レスタス超長時間(190h)-8h

ハルシオンはこんな方におすすめ

不眠には2つのタイプがあります。

  1. 寝付けない
  2. 途中で目が覚めてしまう

寝付けないタイプを「入眠障害」、寝てもすぐに起きてしまうタイプを「中途覚醒」といいます。

一般的には、以下のように睡眠薬を処方しています。


  • 入眠障害には超短時間、短時間型
  • 中途覚醒には中、長時間型

ハルシオンは超短時間型(半減期2.9時間)ですから入眠障害に向いています。

実際、入眠障害に対して効きが良いのですが、反面「依存しやすい」「ハルシオンがないと眠れない」となりやすい部分もあります。

他の睡眠薬で十分な効果が得られない入眠障害の第2選択薬として使用されることが現在は多い(もしくはそもそも処方されない)と思います。

耐性・依存形成に注意を払い、漫然と内服を続けないようにしましょう。

参考:ハルシオンの作用機序

ハルシオンは「ベンゾジアゼピン系」という種類のお薬です。

ベンゾジアゼピン系は、GABA受容体という部位に作用することで、

  • 抗不安作用(不安を和らげる)
  • 催眠作用(眠くする)
  • 筋弛緩作用(筋肉の緊張をほぐす)
  • 抗けいれん作用(けいれんを抑える)

という4つの効果を持っていることが知られています。

ベンゾジアゼピン系と呼ばれるお薬は、基本的にはこの4つの効果を全て持っています。ただ、それぞれの強さはお薬によって異なり、抗不安作用は強いけど抗けいれん作用は弱いベンゾジアゼピン系もあれば、抗不安作用は弱いけど催眠作用が強いベンゾジアゼピン系もあります。

ベンゾジアゼピン系のうち、催眠効果が特に強いものを「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」と呼びます。ハルシオンもそのひとつです。

ハルシオンの副作用

ハルシオンは効果が強めで、即効性があるという特徴があります。

切れも良く即効性のある反面、副作用が起きやすくもあるのです。

ハルシオンは強力に鎮静をかけてしまうため、過鎮静によるふらつきや転倒を起こしやすいという副作用があります。

即効性があり、飲んですぐ効くので、不眠症状の改善には有効です。

しかし急激に意識を落とすので、中途半端に覚醒状態(もうろう状態など)を作ってしまうこともあります。

また、強くて即効性のある睡眠薬は、依存や乱用につながりやすいと言われています。

効きを感じやすいことで、ついついハルシオンに頼りがちになり服用回数が多くなってしまいやすいのが現実です。

実際に、ハルシオンの副作用は他のベンゾジアゼピン系睡眠薬より問題となることが多く、海外ではハルシオンの処方を中止している国もあります。

Ⅰ.耐性・依存性形成

ハルシオンは、耐性や依存性を形成してしまうことがあります。

耐性とは、身体が徐々におくすりに慣れて強くなてしまうことをいいます。
1錠飲めば眠れていたのに、効かなくなっていって2錠、3錠と増やしていかないと眠れなくなり、ハルシオンの量がどんどん増えてしまう状態をいうのです。

一方、依存性とは、ハルシオンに頼り切ってしまい、ハルシオンなしではいられなくなる状態をいいます。
お薬がきれると手のふるえや発汗などの離脱症状が現れることもあります。

ハルシオンは、その「キレの良さ」「効果の強さ」から効く実感が湧きやすく依存形成を起こしやすいため、注意が必要です。
海外ではハルシオンの発売を中止している国もあるのはこのためです。

また、服薬期間が長期化すればするほど、耐性・依存形成のリスクが上がります。「漫然と飲み続けない」ことも大切です。

Ⅱ.もうろう状態、一過性前向性健忘

ハルシオンを内服したあと、自分では記憶がないまま、出歩いたり話したりする事があります。

もうろう状態や一過性前向性健忘と呼ばれる副作用です。

半減期(血中濃度が半分に下がるまでの時間、作用時間の目安)の短い睡眠薬に起こりやすい副作用で、ハルシオンは2.9時間と半減期が短いため、もうろう・健忘状態になりやすいお薬なのです。

健忘けんぼう」とは「物忘れ」「ぼけ」のような意味で、「前向性ぜんこうせい」とはある時点(この場合ハルシオン服用時)以後のことを指します。

つまり一過性前向性健忘というのは「ハルシオン服用後、一時的・一過性のぼけが生じて、記憶がない」ということです。

健忘が起こると、自分は全く覚えていないため良いのですが、周囲の人たちは「おかしくなってしまったのでは!?」と驚き不安になってしまいます。

この状態は数十分~数時間で回復しますので、危険な行動をとらないよう監視していれば特段問題はありません。

ハルシオンでこれらの症状が起こってしまったら、量を減らすか、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬(マイスリー、アモバン、ルネスタなど)への変更や短時間型(レンドルミン、リスミーなど)の睡眠薬作用時間のより長い睡眠薬(ハルシオンは超短時間作用型)へ切り替えるのが良いでしょう。

Ⅲ.眠気

ハルシオンも睡眠薬ですから眠気は生じるのですが、持ち越して翌日の日中まで起こる眠気が副作用となります。

夜寝る前に睡眠薬を飲んで眠くなるのは「効果」ですから良いのですが、「起床時間になってもまだぼーっとしていて眠くて起きれない」「日中眠くて仕事に集中できない」「頭がまわらない」となるとこれは問題です。

このように睡眠薬の効果が残ってしまう事を「持ち越し効果(hang over)」と呼びます。

眠気だけでなく、だるさや倦怠感、ふらつき、集中力低下なども生じます。

ただしハルシオンは持ち越し効果による眠気の副作用は少なめです。

作用時間の目安となる半減期は2.9時間と短いためです。

とはいっても翌日の起床時間までが短く、睡眠時間が短めの方では持ち越し効果はさすがに起こってしまいます。

ある程度睡眠時間をとっても翌日頭がぼーっとする感覚が残る場合、持ち越し効果があると考え服薬量を減らして飲んでみる(例えばハルシオン0.25mgを内服しているのであれば0.125mgに減らす)のが良いでしょう。

ハルシオンの依存性について

1.ハルシオンの依存性は強い

ハルシオンを含め、全てのベンゾジアゼピン系には依存性がありますが、その中でハルシオンの依存の強さは「強い」と言えます。

ハルシオンは催眠効果が強く、また即効性もあって「キレが良い」「実感が良い」ことが特徴です。

それだけ精神的にも頼りやすいのです。

依存とは、ハルシオンに頼り切ってしまい、常に手放せなくなってしまうことをいいますが、この依存性が強いのが特徴で、依存性だけが発売中止の理由ではないものの、海外では発売が中止された国さえあるのです。

2.依存にならないために

アルコール依存症の方が、アルコールをやめるのはかなり困難です。

仮にやめられたとしても、また飲んでしまう方は非常に多いのです。

ここからも分かるように、一度依存になってしまうとそこから完全に抜け出すのはかなりの労力を要します。

最も重要なことは依存にならないように意識しておくことですが、不眠症の治療においては眠りの質が悪いことも相まってこれまたなかなか難しいことでもあります。

依存にならないためには、どんなことに気を付ければいいでしょうか。

まずは依存しやすいお薬の特徴を知っておきましょう。

依存を形成しやすい睡眠薬の特徴

  • 効果が強い
  • 半減期が短い
  • 服薬期間が長い
  • 服薬している量が多い

つまりこの特徴を知っておけば逆は依存にならないための対処法となるのです。

Ⅰ.なるべく効果が弱い睡眠薬を選択する

一般的にハルシオンは強い催眠作用を持ちます。

それゆえハルシオンから別のお薬に変えると物足りなさを感じることが多々あります。

ハルシオンを服用している方にとって依存の観点から重要なのはこのお薬が強いお薬であることを知っておくことです。

出来る限り、非ベンゾジアゼピン系のお薬(例えばマイスリー、アモバン、ルネスタなど)から始めるのが安全でしょうし、マイスリーで眠れないかをチャレンジすることも大事でしょう。

エビデンスが不確かなところもありますが、ベンゾジアゼピン系よりも非ベンゾジアゼピン系の方が依存を起こしにくいと考える専門家もいます。

依存形成をなるべく起こさないために、もし非ベンゾジアゼピン系を検討できる不眠なのであれば、非ベンゾジアゼピン系にしてみるのはいいかもしれません。

また、メラトニン受容体作動薬(商品名:ロゼレム)、オレキシン受容体拮抗薬(商品名:ベルソムラ)は依存性が無いと言われていますので、これももしこれらの睡眠薬を検討できる不眠なのであれば、変薬してみるのは有効な手です。

いつのまにかハルシオンがないと眠れないという精神依存に陥って、実は不眠が治ってきているのにいつまでも強いおくすりを漫然と続けている方もいます。
常に「弱い睡眠薬に切り替えられないか」検討してみることは大切なことなのです。

Ⅱ.なるべく半減期が長い睡眠薬を選択する

半減期というのは、そのおくすりの血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことで、そのおくすりのおおよその作用時間の目安として用いられています。

一般的に半減期が短いおくすりというのは、すぐに効き、すぐに効果がなくなります。

ハルシオンは半減期2.9時間と超短時間の睡眠薬に分類され、すぐ効くので実感を得やすく、反対に半減期の長いおくすりは、ゆっくり効いてくるため効かないと思ってしまうこともあります。

長く効くお薬は、依存面でいえば良いのですが、眠気やだるさが一日中続いたりと、長く効くことによる問題が起こることもあります。

Ⅲ.服薬期間はなるべく短く

ハルシオンをはじめベンゾジアゼピン系の睡眠薬はは1か月内服しただけでで依存性が形成される、と指摘する方もいます。

種類や量によるので一概には言えませんが、長期間飲めば依存形成が生じやすくなるのは間違いありません。

睡眠薬はずっと飲み続けるものではないのです。

不眠の原因となっている問題(多いのはうつ状態やうつ病、一時的な何かしらの影響によるストレスなど)に対しての解決・治療を模索し、睡眠薬はそのつなぎであることを認識することが大事です。

Ⅳ.服薬量は少なめで

不眠で焦ってしまうとつい、実感を得られるまでたくさんのおくすりを飲みたくなるのですが、量が多ければ依存になりやすくなります。

自身の満足が得られる睡眠を求めると確実に量は増え精神依存にも陥ります。

基本的に布団・ベッドに入ってじっと目をつぶっているだけでも睡眠としては十分という認識を持ち、決められた量より増やして飲んで自身の満足度を得られる睡眠を薬に求めないことが大切です。

ハルシオンと酒・アルコールの併用がだめな理由

酒・アルコールとの併用については注意書きがあります。

【併用注意】

アルコール(飲酒)

臨床症状・措置方法:精神神経系等の副作用があらわれるおそれがある。なお、できるだけ飲酒は避けさせること。
機序・危険因子:中枢神経抑制作用が増強される。

アルコールとハルシオンの併用は「できる限り控えること」とされています。
その理由はアルコールもハルシオンもともに脳のはたらきを抑えてしまうためと相互に作用を増強するからです。

睡眠薬もアルコールも、脳のはたらきを抑える効果があり、同時に使ってしまうと脳の過剰な鎮静・抑制の原因になるのです。

併用を避けるべき理由として「脳のはたらきを過剰に抑えてしまうのが危険だから」が挙げられていますが、実は問題はこれだけではありません。

アルコールと睡眠薬の併用は、長期的にも大きな問題を引き起こします。それは「耐性・依存性形成」です。

アルコールにもハルシオンにも耐性や依存性があります。

耐性と依存性
耐性:次第に身体が慣れてきて、効かなくなってくる事です。依存性:ある物質に頼り切ってしまうことで、その物質なしではいられなくなる現象です。

耐性も依存性もアルコールとハルシオンを併用する事で、より急速に形成されてしまうことが問題なのです。

ハルシオン・アルコール併用の害

  • 睡眠薬と酒・アルコールを併用すると、脳を過剰に鎮静して健忘や転倒、異常行動の原因になる。
  • 耐性・依存性がより急速に形成され、アルコール依存症・薬物依存症にもなりやすくなる。

ハルシオンと酒・アルコールの併用で起こる問題

睡眠薬とお酒を一緒に飲んでしまうと、どうなってしまうのでしょうか?

前章では副作用が起きやすくなることや依存性耐性の問題を挙げましたが、短期的な害ではお酒や睡眠薬が残りやすくなるために、翌朝の眠気やだるさが強くなります。

普通量のお酒を飲んだだけなのに二日酔いになったり、寝坊・遅刻してしまったり、更に眠気やだるさで翌日の仕事に集中できなくなったりします。

もちろんハルシオンの副作用である、 健忘やせん妄も起こりやすくなります。

睡眠薬の血中濃度が不安定になるため、内服後に自分では覚えてない異常行動(歩いたり、ものを食べたり、人と話したり)を起こしやすくなるのです。

長期的に見ると、耐性や依存性が形成されやすくなります。
こうなると次第にどの睡眠薬も効かなくなり、不眠の症状で打開策がなくなり非常に大変です。

海外のいくつかの国ではハルシオンは販売中止となっているほどなのです。

ハルシオンは特にアルコールとの併用は避けるべきなのです。

どうしても酒・アルコールを飲みたくなったら

最初から答えを言いますと、どうしても飲みたいという時は睡眠薬を飲まない事につきます。

もちろん飲酒はしないことが望ましいのですが、お酒を飲んでしまった場合その日のハルシオンは内服しないでください。

ハルシオンがなければ眠れないかもしれません。
お酒を飲んでしまったときにできることはハルシオンを飲まないことなのです。

ハルシオンの大量服薬(OD)について

ODオーディーといって薬を過量服薬した患者さんが救急搬送されてくることがあります。

過量服薬の中でも特に多いのが睡眠薬です。

ほとんどの場合、自殺目的というよりは、「どうでもよくなった」「楽になりたかった」という理由です。

過量服薬する理由の多くは「現実から逃避したい」「衝動を抑えたい」なのです。

ハルシオンの過量服薬と致死量(とくにご家族が発見された場合用)について解説いたします。

ハルシオンの致死量

ハルシオンには脳を抑制させるはたらきがあるため、もちろん大量に飲めば呼吸停止に至って死ぬ可能性はあります。

しかし結論から言うと、ハルシオンを大量に飲んで自殺することは不可能です。

なぜなら「大量」というのは、ハルシオンを数千錠とか数万錠とか、物理的に不可能なレベルです。

飲んでいる間に意識を失ってしまうだけなのです。

「死のう」と思って睡眠薬を過量服薬しても死に至ることはありません。
途中で嘔吐して、窒息などのことがない限り薬効成分で致死的になることはほとんどないのです。

ハルシオンを過量服薬すると・・・

ハルシオンを過量服薬(OD)した場合、どうなるのでしょうか?

大量に飲酒した時と同じで、眠ってつぶれたような状態になります。

ハルシオンの包装が散らばった状態で、眠っている患者さんを家族や知り合いが発見し救急搬送されることがほとんどです。

救急搬送されると、睡眠薬を内服してから数時間(1-2時間)以内は、胃に残っている可能性があるため「胃洗浄」を行うこともあります。
鼻から太いチューブを胃に入れて、胃に残っている薬物を物理的に洗い出す処置です。

この胃洗浄は、患者さんにとって大変苦しい処置となります。鼻に太いチューブを無理矢理ねじ込まれ、そこから水を入れたり出したりされるのです。

その後、活性炭という薬物を吸着してくれる働きのある真っ黒な物質をチューブから投与します。

意識がないので失禁することもあるため、尿のチューブやおむつをして意識の回復を待ちます。

1,2日で覚醒しますのでその間は入院になります。
目を覚ますと本人はよく寝たという感じでしょうが、医療者の目は冷ややかなことも多いです(これは医療者として取るべき対応ではないのですが、救急外来の戦場にODの患者さんが搬送されると冷たい言葉が飛び交うのは事実です)。

また、ODを一回してしまうと「また過量服薬をするのでは?」という目で見られ、主治医との信頼関係も揺らぎます。
そうなると、お薬を多めにはだせず最小限しか難しくなります。

一回で処方してもらえるお薬が減ると何度もクリニックに通うことにもなります。

過量服薬の衝動への対処法

ODについては実は多くの方が勘違いされているのですが自殺目的ではありません。

衝動が原因です。
自暴自棄になっているときに起こるか、どうしても衝動コントロールできないために鎮めるために行っているのです。

決してパフォーマンスではありません。

衝動コントロールとしては、壁をなぐる、リスカ、大声をだす様々な方法がありますがその中でODという選択肢を取るのです。
そして死なないことは本人もなんとなくわかっているのかもしれません。

服薬管理といって薬を他の方が管理していても、いつのまにか個人輸入で手に入れていたり、人によっては万引きやリスカ、怒りを誰かにぶつけるなど別の方法で衝動を鎮静化させることもあるのです。

ですからODをODとしてみるのではなく、衝動コントロールの手法として様々な方法がある中での1つとしてみる必要があるのです。

では衝動はなぜ起こるのかですが、多くの場合人間関係です。
人間同士の衝突はどこにでも起こるものですが、往々にして過敏性の強い特性柄ちょっとしたことでも過大に受け止めてしまうのです。

ODする前にはサインがあります。
人間関係の衝突が起こりむしゃくしゃしています。

そしてそのサインに周囲が気づかずスルーしてしまったときに行為が行われるのです。

衝動性のコントロール目的では気分安定薬や抗不安薬、抗精神病薬などが処方されることもありますが、それでも一過性の人間関係の衝突で起こる発作を鎮めることは難しいのです。

サインに気づき、話を聞いてあげる(特に答えを求めているわけではない)が周囲のできる方法なのです。

ハルシオンのジェネリック「トリアゾラム」

ジェネリック医薬品が推奨されている事もあり、「ハルシオン」もジェネリック医薬品の「トリアゾラム」を目にする機会は増えています。

ジェネリック医薬品とは後発医薬品のことで、最初に開発製造販売したお薬の特許が切れ安く提供できるようになったお薬のことをいいます。

ジェネリック医薬品が国をあげて推奨される理由は医療費削減が主な目的になりますが、患者さん側としてもお薬代が安く済むためにメリットはあります。

ハルシオンはよく処方されている睡眠薬であり、多くのジェネリックが発売されています。

  • ハルラック
  • ミンザイン
  • アサシオン
  • トリアゾラム
  • パルレオン
  • トリアラム
  • アスコマーナ
  • カムリトン

いずれも薬効成分はハルシオンと同じなのですが、製品名がたくさんありすぎて混乱を招きます。

そのため現在ではジェネリック医薬品は「一般名+会社名」という呼び名で統一されています。

  • ミンザイン⇒トリアゾラム「日医工」
  • アサシオン⇒トリアゾラム「タナベ」
  • パルレオン⇒トリアゾラム「テバ」
  • アスコマーナ⇒トリアゾラム「日新」

現在は、ハルシオンのジェネリックは「トリアゾラム」となっています。(※ハルラックだけ残っています)

ジェネリック医薬品とは

最初に開発し、承認後に発売する許可を得た新しい薬効成分を持つお薬を「先発医薬品(新薬)」といいます。

先発医薬品の開発には、十数年にもおよぶ長い研究期間と莫大なコストがかかります。
ほとんどが海外メーカー含め大手の医薬品メーカーに限られてしまいます。

先発医薬品を開発した企業は、医薬品の構造や製造方法、用途について特許権を取得し、特許期間中の20年間はその薬の製造・販売を独占することができます。

先発品の特許が切れ(開発中に特許を取得するので、販売後10年前後で特許切れになることが多い)、他の医薬品メーカーがその技術を借りて製造・販売したものを「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」といいます。

ジェネリックの3つの特徴をみてみましょう。

1.薬価が安い

先発品に比べてジェネリック医薬品の方が薬価が安いというメリットがあります。
処方箋の「後発医薬品に変更不可」の欄にチェックと医師のサインがされてなければ、自動的に薬局でジェネリックに変更されて出されることが多いはずです。

クリニックによってもしくは医師によってジェネリックに対する考え方に違いがありますが、今は基本的にジェネリック医薬品を可としていることが多いと思います。

ハルシオン・トリアゾラムの薬価

  • ハルシオン 0.125mg錠:8.8円
  • ハルラック錠 0.125mg:5.6円
  • トリアゾラム錠 0.125mg:5.6円

  • ハルシオン 0.25mg錠:13円
  • ハルラック錠 0.25mg:5.8円
  • トリアゾラム錠 0.25mg:5.8円

2.成分は同じでも製造方法は違う

ジェネリック医薬品は先発品と成分は同一ですが、コーティングが異なるので苦みの感じ方や飲み安さが異なることがあります。

ただし同じ薬効のはずなのですが、ジェネリックに切り替えることであまり調子が良くなくなったとか、副作用が出たということもなくはありません。

これはお薬の製造方法や製剤工夫が会社によって異なるためです。
もちろん先発品と同じように効果の試験をクリアし、血中濃度の変化(薬物動態)も同等になるように設計はされています。

もちろん同じ成分であっても、「ジェネリックで大丈夫なのかな?」と精神的な影響もあるとは思います。

本当に同じ成分・同じ薬効?

先発品の持つ特許のうち、新しい成分に与えられる「物質特許」、その成分に対する新しい効能・効果に対して与えられる「用途特許」の2つの特許が切れてジェネリック医薬品を製造・販売することができるようになります。

ところがあくまでその成分の存在と効能の特許技術を利用するのみであり、先発品が持つ他の特許(例えば製造方法に与えられる「製法特許」、薬を製剤する上での工夫「製剤特許」など)も存在します。

有効期間が残っている場合もありますし、ここまで技術を借りるとジェネリック医薬品なのに先発品と変わらない価格になってしまうかもしれません。

とすれば製造方法や薬のコーティング部分に使われる添加物などを完璧に先発医薬品と同じにすることが実はできないのです。

同じ主成分が同じ量だけ入っていたとしても、実際には薬が吸収される速度や、有効成分が分解される状態が先発品とは多少異なる可能性があるのです。

これによって「効果」や「副作用」の違いが出うるのです。

それでもジェネリック医薬品が先発医薬品と変わらない効果をうたっています。

「有効性の試験」において統計学的に15%の差は「差が無い」としているので、厳密には10%前後の差異があるものとみなした方がよいのです。

3.間違えやすいお薬名

外来で飲んでいる薬のことをたずねると「アメルです!」とお答えいただきますが、「アメル」はジェネリック医薬品の販売メーカー名であり、お薬の名前ではありません。



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