光トポグラフィー検査について
今のところ、発達障害をはじめその他精神疾患を診断できる確実なバイオマーカー(客観的な指標として活用されるような生物学的指標)や臨床検査はなく、医師の問診や質問紙による心理検査などから得た情報をもとに診断することが一般的でした。
しかしこの数年、「光トポグラフィー検査」を導入する医療機関が増えています。
光トポグラフィー検査は、認知課題遂行時の脳の血流変化パターンで病態を予測することが可能な検査です。結果はグラフ化されるので、脳の働き方を目で見て確認することができます。客観性が高いことから、診断鑑別のための有力な補助検査となりつつあります。
当院では他院で受けられた検査のセカンドオピニオンも行っております。
光トポグラフィー検査とその原理
光トポグラフィー検査は、近赤外光が血液のヘモグロビン以外に大きな吸収体をもたない特徴を利用した近赤外線分光法(Near-Infrared Spectroscopy:NIRS)を利用します。頭皮上から近赤外光を照射し、検出された光量から、脳内の血液中の酸化・還元ヘモグロビンの濃度変化に伴う血液量変化を測定します。
検査の目的
光トポグラフィー検査は、問診による診断を補助し、診断を客観的にも行えるようにするものです。精神疾患のための臨床検査として期待されています。しかし、あくまでも「鑑別診断補助」という位置づけであることを十分に理解した上で適正に施行する必要があります。
患者さんにとっては目で見て共有できる情報として重視される方も多いのですが、位置づけとしては補助診断となります。
- 現在、6割から8割の精度で臨床診断(うつ病・双極性障害・統合失調症)を示唆する結果がでていますが、精神疾患の有無を確定したり、診断名を証明したりするものではありません。
- 臨床診断を自動判定するものではありません。
- 治療効果はありません(病状が改善することはありません)。
- 計測不良で判定が困難なこともあります。
検査の対象となる方
うつ病として治療を受けている方が対象です。
治療抵抗性うつ病であったり、統合失調症・双極性障害が疑われる症状を呈するなど鑑別診断を行う上での補助的な指標となります。
検査方法
脳に対して非侵襲的である近赤外線スペクトロスコピィ(Near-Infrared Spectroscopy:NIRS)用いて、精神疾患における前頭葉機能の特徴を捉えるものです。
言語流暢性課題における前頭部の賦活反応性の特徴がうつ病・双極性障害・統合失調症で異なることを用いて、うつ病と臨床診断されている場合に、真の診断が双極性障害や統合失調症である可能性を示唆することができます。
副作用
使用する近赤外光は非常に弱い光を使用しています。
副作用等の報告はありません。
費用
よくある質問
- 検査はどのように行うのですか?
- 光センサーのついた帽子を頭に装着していただき、「あ」で始まる言葉を言うなど簡単な課題に答えていただきます。言葉を考えている時に、装置から発している近赤外光によって大脳の血液量の変化を記録します。およそ10分程度の検査になります。
- 検査は安全ですか?副作用はないですか?
- 検査に使用される近赤外光は、くもりの日の日光より弱い光で健康を害することはありません。痛みももちろんありませんし、装置の安全性も広く認められております。安心して検査を受けていただくことができます。
- 検査に治療効果はありますか?
- 脳の血流の変化を測る検査であり、治療効果はありません。
- 検査を受けるにあたり、普段の生活で気をつけることはありますか?
- 検査当日の食事を抜いたり、水分をとらないようにするといった、特別な前処置は必要ありません。普段どおりの状態で検査を受けていただくことができます。
- 光トポグラフィー検査だけを受けることはできますか?
- 可能です。
- 現在、病院に通院していないのですが検査は受けられますか?
- 可能です。特に紹介状なども不要です。
- 現在通院している医療機関へはどのように話せばよいでしょうか?
- 原則、主治医の先生に光トポグラフィー検査を希望している旨をご相談いただき受診してください。
- 光トポグラフィー検査の結果をその場で聞くことはできますか?
- その場で判読し結果をお伝えいたします。
- 統合失調症のうつ状態と言われていますが検査は受けられますか?
- うつ病との鑑別でこの検査を行うことが可能です。診断に疑問の余地がなく、治療も奏功している場合には検査お受けいただくメリットは少ないかもしれません。
- 検査後の治療は受けられますか?
- セカンドオピニオンなどかかりつけ医のいらっしゃる方は原則として主治医のもとで行っていただきます。当院通院ご希望の方はそのまま治療についてもご相談いただけます。