ジェイゾロフト(セルトラリン)で不眠に・・・。いつまで続く眠れない日々?その対策について

不眠


ジェイゾロフト(ジェネリック医薬品:セルトラリン錠)の副作用で「不眠」が生じることがあります。

日中の眠気の副作用もあるのに、逆に眠れなくなってしまうことがあるのです。

早朝に目覚めてしまったり、夜中に何度も目覚めてしまったり・・・

ジェイゾロフトによってもたらされる不眠とその対策についてご紹介します!


なぜ不眠になるの?

ジェイゾロフトは神経伝達物質「セロトニン」を増やす働きがあります。

神経と神経の伝達は、セロトニンをはじめとした神経伝達物質でやり取りされており、その受け取り窓口になるのが「受容体じゅようたい」です。

薬によって増えたセロトニンは、受け取り側の神経細胞の「受容体」という部分にくっついて様々な効果を出します。

その神経伝達物質の受容体(受け取り窓口)には色々あり、脳の神経に作用して「気分を持ち上げる」「眠くするもの」、胃腸の神経なら「吐き気を起こす」、自律神経なら「便秘、口渇を起こす」など様々です。

ジェイゾロフトは抗うつ剤ですから「気分を持ち上げる」だけの作用が良いのですが、そううまくはいかず実際はいろいろな受容体に作用して余計な作用が出てしまいます。

これを副作用というわけですね。

ここでは不眠についてを紹介しましょう!
様々な副作用の詳細は以下の記事で解説しています。

不眠が起こるのは、ジェイゾロフトによって増やされた神経伝達物質「セロトニン」が気持ちを高めてくれると同時に脳を覚醒させる方向にも作用させてしまうからなのです。

具体的には5HT(セロトニン)2A受容体を刺激するためと考えられています。

セロトニン2A受容体を刺激されると、無気力を改善させたりという良い働きもあるのですが、脳の覚醒レベルを上げるため、これによって不眠になりやすくなってしまいます。

また、脳が働いてしまうため睡眠も浅くなり夢(嫌な夢のことも)も見やすくなります。

他の抗うつ剤と比べてどうか

不眠が神経伝達物質「セロトニン」を増やすという、抗うつ作用の裏返しで起こることはご理解いただけたかと思います。

つまりセロトニンを積極的に増やす抗うつ剤(SSRI・SNRI)でよく認める症状なのです。

同じセロトニンを増やす抗うつ剤でも、SSRIやSNRIほど積極的でない三環系抗うつ剤(古い初期型の抗うつ剤)でも認められますが、SSRIやSNRIほどではありません。

不眠の副作用がほとんどない抗うつ剤も存在します。
睡眠作用が強く「鎮静系抗うつ剤」と呼ばれるもので、四環系やデジレル、Nassa(リフレックス/レメロン)が該当します。

抗うつ剤が及ぼす睡眠への影響

  • SSRI、SNRI、三環系・・・不眠になりやすい
  • Nassa、四環系、デジレル・・・強く眠気をもたらす

抗うつ剤の種類
抗うつ剤不眠の作用
三環系トフラニール++
三環系トリプタノール-
三環系アナフラニール
三環系ノリトレン
三環系アモキサン++
四環系ルジオミール
マプロチリン
-
四環系テトラミド
ミアンセリン
-
SSRIパキシル
パロキセチン
++
SSRIルボックス
デプロメール
SSRIジェイゾロフト
セルトラリン
++
SSRIレクサプロ++
SNRIトレドミン
ミルナシプラン
SNRIサインバルタ++
NaSSAリフレックス
レメロン
-
その他デジレル
レスリン
-
その他ドグマチール
スルピリド
-

不眠に対する対策

ジェイゾロフトによって「不眠」が生じてしまったときはどのような対処法があるでしょうか。

※必ず主治医と相談の上お願いします。

様子をみる

抗うつ剤の副作用においてこれは鉄則です。
なぜならほとんどの副作用が、1,2週間で改善しうることが多いからです。

不眠はいつまで続く?

飲み始めてから明らかに眠りが浅くなったという場合、飲み続けていると慣れてきて、1~2週間で不眠はよくなっていきます。

ただもともと不眠が強い方の場合には、睡眠状態がよくなるわけではないので別の対処法が必要になるでしょう。

減薬する

ジェイゾロフトをはじめ抗うつ剤は一般的に少量からスタートして徐々に(1~2週間ごと)量を増やしていきます。
急激に神経伝達物質「セロトニン」が増えると、副作用がでやすくなってしまうためです。

飲み初めは良かったのに、増やしたら急に不眠があらわれた場合、そのまま様子をみてしまうか生活に支障が出る場合には元の量に戻すのが良いでしょう。

「急に減薬したら離脱症状は大丈夫?」と心配される方もいますが最近(1-2週間以内)増やしたお薬であれば問題ありません。

離脱症状についてはこちらの記事をご参照ください。

最初のスタートから不眠が強い場合には、中止するという選択になります。
例えば、ジェイゾロフトはスタート量25mgからなのですが、それで不眠が出てしまうなら12.5mgへ減らし少し様子をみるとかしてみるわけですね。

様子を見るか、減薬・中止するかは日常生活に支障があるかどうかで選ぶことになります。
減薬・中止の場合はすぐに主治医と相談し、違うお薬に変更ということになります。

睡眠薬や、睡眠作用を持つ抗うつ剤と一緒に飲む

ジェイゾロフトとは別に睡眠薬を一緒に服用するのが一般的です。

もともとジェイゾロフトを飲む前から不眠があるようであれば睡眠作用の強い抗うつ剤を一緒に飲むと効果的です。

睡眠作用の強い抗うつ薬

  • 四環系抗うつ剤(ルジオミール、テトラミドなど)
  • Nassa(レメロン、リフレックスなど)
  • デジレル・レスリン

別の抗うつ剤に変える

飲み初めたばかりであれば変更はしやすいので、別の抗うつ剤に変えるのも手です。

睡眠作用の強い「鎮静系抗うつ剤」に切り替えるのが有用ですが、太る副作用もあるのと主治医の先生のジェイゾロフトを処方している理由などもあると思うので、このあたりは主治医の先生とよく相談してください。

※睡眠作用の強い抗うつ剤は、「日中の眠気」「倦怠感」「ふらつき」「太る」などが出やすいです。

ジェイゾロフトと同じSSRIの中での変更もありです。
特徴は理論的には似ていますが、やはり個別に少し特徴の差異はあります。

実際、同じSSRIや類似のSNRIの中での抗うつ剤の変更で副作用や場合によって抗うつ効果や抗不安効果の改善を認める例はあります。

逆に悪くなることもありますのでこればかりは飲んでみないとわかりません・・・。


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