デパス(ジェネリック医薬品名:エチゾラム)は抗不安薬に属するお薬です。
抗不安薬もたくさんの種類があり、お薬を服用してから効くまでの時間、薬の効果が続く時間はそれぞれ異なり、それが薬の特徴となります。
デパスは服用してから効果発現までの時間は早く、効いた実感が強いため臨床現場でも最も多く処方されているお薬の1つです。
デパスの薬物動態、半減期・作用時間などについてわかりやすく解説します。
薬物動態
薬物動態とは、薬が体内に取り込まれ効果を出し、そしてどう代謝されて薬効を失うかをいいます。
もちろん体内でのお薬の動き(薬物動態)には個人差がありますのであくまで一般的解釈として認識してください。
デパスを内服すると、約3時間で血中濃度が最大となり、半減期(血中濃度が半分になってしまう時間)は約6時間とされています。
半減期とは、お薬の血中濃度があるところから半分になるまでにかかる時間のことです。
それはすなわち作用時間と相関すると考えてください。
つまりどの程度の時間効いているかというのは半減期によるということです。
デパスの場合は半減期が6時間ですから、内服してから6時間くらい効いているというわけです。
デパスは肝臓で代謝され分解されていきます。
代謝されることで身体から抜けていくのですが、代謝スピードは個人差がありますし、また血中濃度がそのまま薬効を反映するわけではありません(血中濃度が半分になっても十分効いていると実感している人もいますし、逆に血中濃度が最高値より少しでも下がれば効かないと思う方もいるでしょう)。
デパス(エチゾラム)の半減期は短め
デパスの半減期(=作用時間)は約6時間であり、抗不安薬の中では短い方です。
またデパスは服用してから血中濃度が最大になるまでに約3時間かかりますが、逆にこれは抗不安薬の中では遅い方です。
それでもデパスはすぐ効くとおっしゃる患者さんも多いので、この辺りが実際の薬物動態との乖離があるところになりますが・・・。
ただ抗不安薬の中には、服用してから1時間以内に血中濃度が最大になるものもあり、理論上は飲んですぐ効く屯用での服用はそちらの方が適していることになります。
抗不安薬の薬物動態の比較
同じ抗不安薬の中でも、お薬によって薬物動態は様々です。
抗不安薬 | 半減期 | 最高濃度到達 |
---|---|---|
グランダキシン | 短い(<1h) | 1h |
リーゼ | 短い(6h) | 1h |
デパス | 短い(6h) | 3h |
ソラナックス コンスタン | 中(14h) | 2h |
ワイパックス | 中(12h) | 2h |
レキソタン セニラン | 中(20h) | 1h |
セパゾン | 中(-21h) | -4h |
セレナール | 長い(56h) | 8h |
バランス コントール | 長い(-24h) | 3h |
セルシン ホリゾン | 長い(50h) | 1h |
リボトリール ランドセン | 長い(27h) | 2h |
メイラックス | 超長時間(-200h) | 1h |
レスタス | 超長時間(190h) | -8h |
半減期が短いという事は、お薬がすぐに代謝されてしまうということです。
1日に数回服用となっているのはこのためです。反面、依存になりやすいデメリットがあります。
半減期が長いお薬は、1度服用するとしばらく効いていることになります。
服薬回数も少なくて済みますし、ゆっくり効くため依存になりにくいというメリットもあります。
ただし、抗不安薬が本当に効かない人は半減期が長かろうと短かろうと何度も服用してしまいます。
また多量内服をする恐れのある場合などは、半減期が短いものの方が体内に蓄積しにくいことがおわかりいただけると思います。
デパスは半減期は6時間と短く、1日に3回など複数回飲むお薬ですが、依存形成には注意しなくてはいけません。
また最高血中濃度までは3時間かかるのですが、実際は抗不安作用の強さから効果は比較的早く実感しやすい特徴があります。
薬物動態からみるデパスの使用方法
デパスの内服回数やタイミングとしては、不安発作が出たり、不安の出やすい時間帯がありそこだけ対応するのか、それとも1日中効かせたいのかで異なります。
不安が出た場合や、不安が出やすい特定の時間がある場合
デパスを「頓服」で服用することになります。つまり急に不安が出た場合などは、そのタイミングで内服することになります。
デパスの最高血中濃度までの到達時間は約3時間ですから、この場合「飲んでから3時間は効かないのでは?」と思われるでしょう。理論的にはそうなのですが、実際には飲んで血中濃度が上がりだしたタイミングでは効果は現れますので大丈夫です。
そこには飲んだというプラセボ効果もあるかもしれませんが、不安発作が出たタイミングで飲むは間違いではありません。
3時間後に最も安定して効いているとお考えいただくのが良いでしょう。
一方である時間帯でいつも不安がでるという場合には、逆算して効かせたい時間のおよそ3時間前に内服するのが理にかなっていると言えますね。
例えば、「15時の会議で緊張が強くなる」ということであれば、昼食後あたりにデパスを服薬するのがベストだということです。ただ時間を気にしすぎるあまり逆に不安になるくらいなら、そこまで厳密にしなくても効果はありますので過度に神経質になるのはやめましょう。
1日中効かせたい場合
1日を通して不安を抑えたい場合は、デパスは6時間程度の半減期ですので1日1回の服薬では不十分になります。
実際、添付文書にも不安改善に用いる場合は「1日3回に分けて経口投与する」と記載されています。
定期的に服薬する事で、1日を通してしっかりと不安を抑える事ができます。まて定期内服では頓服に比べてベースの血中濃度が高い状態が維持されますのでしっかり効果を発揮します。(添付文書によるとおよそ1週間の定期内服で血中濃度は定常状態になるとのことです。)
ただし依存形成などをかんげると、個人的には頓服がかのうであるならそれをおすすめしたいと思います。
耐性といっていくら血中濃度が安定しても、同じ効果作用を得られにくくなることがあるからです。そうなるとより高い濃度を維持しなくてはならなくなります。
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