ロラゼパム錠は、1978年から発売されている「ワイパックス」という抗不安薬のジェネリック医薬品(後発品)になります。
※抗不安薬:不安を和らげる作用に優れるお薬で、「安定剤」「精神安定剤」と呼ばれることもあります。
以前はユーパン錠でしたが、2014年に名称が変更され現在は「ロラゼパム錠」に改称されています。
ここではワイパックスのジェネリック医薬品としての有効性や懸念点などについて解説します。
基本的に薬効は「ワイパックスと一緒」ですので、効果や副作用等は以下の記事をご参照ください。
ジェネリック医薬品とは
最初に開発し、承認後に発売する許可を得た新しい薬効成分を持つお薬を「先発医薬品(新薬)」といいます。
ロラゼパム錠(沢井製薬)の場合、先発医薬品は「ワイパックス(ファイザー社)」ということになります。
先発医薬品の開発には、十数年にもおよぶ長い研究期間と莫大なコストがかかります。
ほとんどが海外メーカー含め大手の医薬品メーカーに限られてしまいます。
先発医薬品を開発した企業は、医薬品の構造や製造方法、用途について特許権を取得し、特許期間中の20年間はその薬の製造・販売を独占することができます。
先発品の特許が切れ(開発中に特許を取得するので、販売後10年前後で特許切れになることが多い)、他の医薬品メーカーがその技術を借りて製造・販売したものを「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」といいます。
ジェネリックの3つの特徴をみてみましょう。
1.薬価が安い
先発品に比べてジェネリック医薬品の方が薬価が安いというメリットがあります。
通常は先発品の半額以下ということも多いですが、ロラゼパムの場合、特に0.5mg錠においてはそこまで変わりません。
処方箋の「後発医薬品に変更不可」の欄にチェックと医師のサインがされてなければ、自動的に薬局でジェネリックに変更されて出されることが多いはずです。
クリニックによってもしくは医師によってジェネリックに対する考え方に違いがありますが、今は基本的にジェネリック医薬品を可としていることが多いと思います。
(2018年4月改定)
- ワイパックス錠 0.5mg:5.8円
- ワイパックス錠 1.0mg:9.7円
- ロラゼパム錠 0.5mg:5円
- ロラゼパム錠 1.0mg:5.6円
2.成分は同じでも製造方法は違う
ジェネリック医薬品は先発品と成分は同一ですが、コーティングが異なるので苦みの感じ方や飲み安さが異なることがあります。
ただし同じ薬効のはずなのですが、ジェネリックに切り替えることであまり調子が良くなくなったとか、副作用が出たということもなくはありません。
これはお薬の製造方法や製剤工夫が会社によって異なるためです。
もちろん先発品と同じように効果の試験をクリアし、血中濃度の変化(薬物動態)も同等になるように設計はされています。
もちろん同じ成分であっても、「ジェネリックで大丈夫なのかな?」と精神的な影響もあるとは思います。
本当に同じ成分・同じ薬効?
ワイパックス錠とロラゼパム錠は本当に同じ薬効なのでしょうか?
先発品の持つ特許のうち、新しい成分に与えられる「物質特許」、その成分に対する新しい効能・効果に対して与えられる「用途特許」の2つの特許が切れてジェネリック医薬品を製造・販売することができるようになります。
ところがあくまでその成分の存在と効能の特許技術を利用するのみであり、先発品が持つ他の特許(例えば製造方法に与えられる「製法特許」、薬を製剤する上での工夫「製剤特許」など)も存在します。
有効期間が残っている場合もありますし、ここまで技術を借りるとジェネリック医薬品なのに先発品と変わらない価格になってしまうかもしれません。
とすれば製造方法や薬のコーティング部分に使われる添加物などを完璧に先発医薬品と同じにすることが実はできないのです。
同じ主成分が同じ量だけ入っていたとしても、実際には薬が吸収される速度や、有効成分が分解される状態が先発品とは多少異なる可能性があるのです。
これによって「効果」や「副作用」の違いが出うるのです。
それでもジェネリック医薬品が先発医薬品と変わらない効果をうたっています。
「有効性の試験」において統計学的に15%の差は「差が無い」としているので、厳密には10%前後の差異があるものとみなした方がよいのです。
3.間違えやすいお薬名
外来で飲んでいる薬のことをたずねると「アメルです!」とお答えいただきますが、「アメル」はジェネリック医薬品の販売メーカー名であり、お薬の名前ではありません。
ワイパックスのジェネリック「ロラゼパム」の場合には沢井薬品ですので「ロラゼパム錠(サワイ)」と表記されています。
旧:ユーパン錠からロラゼパム錠に名称変更
ロラゼパム錠は以前は沢井製薬から「ユーパン錠」として販売されていましたが、2014年にロラゼパム錠(サワイ)に改名されました。
基本的に、ジェネリック医薬品名は先発薬品の成分名+会社名と統一されたためです。
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