レメロン錠のジェネリック医薬品(後発品)について

レメロンのジェネリック

レメロンはNaSSAと呼ばれる種類の抗うつ剤で、後発品として「ミルタザピン錠」があります(効果や副作用についてはレメロンもミルタザピンも一緒ですので以下をご参照ください)。

レメロンは錠剤のみで1規格の「15mg錠」のみです。

ジェネリック医薬品は「ミルタザピン錠」が各社から販売されており、価格は先発品(レメロン)の約3分の1です。

ここでは、レメロン錠の薬価、他抗うつ剤との薬価の比較などをみていきましょう。


レメロン錠15mgの薬価(2018年4月改定)

レメロンの薬価

  • レメロン錠15mg:159.8円
  • レメロン錠30mg:264.3円

レメロンの最大投与量は45mgなので、最大量を服用する場合は1日に約420円(3割負担:126円)、1か月では12,600円(3割負担:3,780円)かかる計算になります。

ジェネリック(後発品)「ミルタザピン錠」の薬価

ミルタザピン錠の薬価

  • ミルタザピン錠15mg:51.5円
  • ミルタザピン錠30mg:85.2円

他の抗うつ剤の薬価比較

製剤名最大量(mg)薬価
パキシル40-505mg:47円10mg:82.8円20mg:143.9円
パキシルCR506.25mg:48円12.5mg:83.2円25mg:144.1円
ジェイゾロフト10025mg:85.3円50mg:147円100mg:255.2円
レクサプロ2010mg:202.3円
ルボックス
デプロメール
150-30025mg:31.2円50mg:53.9円75mg:74.3円
サインバルタ6020mg:148.5円30mg:201.4円
トレドミン10012.5mg:15.9円15mg:18.8円25mg:27円
リフレックス
レメロン
4515mg:159.8円30mg:264.3円
トフラニール200-30010mg:9.6円25mg:9.9円
テトラミド6010mg:14.5円30mg:40.4円
デジレル
レスリン
20025mg:15円50mg:27.1円

レメロンの薬価の負担をおさえる制度

自立支援医療制度(精神通院医療)

自立支援医療制度は、精神的な疾患で苦しい思いをしている患者さんのために、医療費の自己負担額を軽減する制度です。

この制度が適応されると、入院外の医療行為(診察やデイケア、訪問看護やお薬の代金など)が「1割負担」に減額されます。

レメロン45mgの1か月の負担額が3割負担(3780円)→1割負担(1260円)に軽減されます。
※別途処方箋料、再診料、薬剤管理料もかかりますがこれらも1割負担の対象です。

また、支払が過大にならないように所得に応じて毎月の上限額が設定され、その上限額以上の金額の支払いを免除されます。

この制度の認定は「通院をしばらく続ける病状にあると医師が判断する方」が該当します。

この制度はあくまでも「精神疾患」に対してですので風邪薬や花粉症の薬には適応されません。

ジェネリック医薬品「ミルタザピン」に変更する

レメロンのジェネリックであれば約3分の1の価格になります。

次に、ジェネリックについて説明しましょう。

ジェネリック医薬品とは

最初に開発し、承認後に発売する許可を得た新しい薬効成分を持つお薬を「先発医薬品(新薬)」といいます。

先発医薬品の開発には、十数年にもおよぶ長い研究期間と莫大なコストがかかります。
ほとんどが海外メーカー含め大手の医薬品メーカーに限られてしまいます。

先発医薬品を開発した企業は、医薬品の構造や製造方法、用途について特許権を取得し、特許期間中の20年間はその薬の製造・販売を独占することができます。

先発品の特許が切れ(開発中に特許を取得するので、販売後10年前後で特許切れになることが多い)、他の医薬品メーカーがその技術を借りて製造・販売したものを「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」といいます。

ジェネリックの特徴をみてみましょう。

1.薬価が安い

先発品に比べてジェネリック医薬品の方が薬価が安いというメリットがあります。
どれくらい違うか、飲み始めに処方されるレメロン錠(ミルタザピン錠)25mgで比較してみましょう。

  • レメロン錠15mg:159.8円
  • ミルタザピン錠15mg:51.5円
  • ※2018年4月改訂の薬価

どうすればレメロンではなくジェネリックの「ミルタザピン錠」として処方されるのかですが、処方箋の「後発医薬品に変更不可」の欄にチェックと医師のサインがされてなければ、自動的に薬局でジェネリックに変更されて出されることが多いはずです。

クリニックによってもしくは医師によってジェネリックに対する考え方に違いがありますが、今は基本的にジェネリック医薬品を可としていることが多いと思います。

2.成分は同じでも製造方法は違う

「ミルタザピン錠」は先発品の「レメロン錠」と成分は同一ですが、コーティングが異なるので苦みの感じ方や飲み安さが異なることがあります。

ただし同じ薬効のはずなのですが、レメロンからミルタザピンに切り替えることであまり調子が良くなくなったとか、副作用が出たということもなくはありません。

これはお薬の製造方法や製剤工夫が会社によって異なるためです。
もちろん先発品と同じように効果の試験をクリアし、血中濃度の変化(薬物動態)も同等になるように設計はされています。

もちろん同じ成分であっても、「ジェネリックで大丈夫なのかな?」と精神的な影響もあるとは思います。

本当に同じ成分・同じ薬効?

先発品の持つ特許のうち、新しい成分に与えられる「物質特許」、その成分に対する新しい効能・効果に対して与えられる「用途特許」の2つの特許が切れてジェネリック医薬品を製造・販売することができるようになります。

ところがあくまでその成分の存在と効能の特許技術を利用するのみであり、先発品が持つ他の特許(例えば製造方法に与えられる「製法特許」、薬を製剤する上での工夫「製剤特許」など)も存在します。

有効期間が残っている場合もありますし、ここまで技術を借りるとジェネリック医薬品なのに先発品と変わらない価格になってしまうかもしれません。

とすれば製造方法や薬のコーティング部分に使われる添加物などを完璧に先発医薬品と同じにすることが実はできないのです。

同じ主成分が同じ量だけ入っていたとしても、実際には薬が吸収される速度や、有効成分が分解される状態が先発品とは多少異なる可能性があるのです。

これによって「効果」や「副作用」の違いが出うるのです。

それでもジェネリック医薬品が先発医薬品と変わらない効果をうたっています。

「有効性の試験」において統計学的に15%の差は「差が無い」としているので、厳密には10%前後の差異があるものとみなした方がよいのです。

3.間違えやすいお薬名

外来で内服薬のことをたずねると「アメルです!」とお答えいただきますが、「アメル」はジェネリック医薬品の販売メーカー名であり、お薬の名前ではありません。

先発品のレメロンは明治の1社から販売されていますが、ジェネリックの「ミルタザピン錠」は17社の製薬会社から発売されております。

名称はすべて「ミルタザピン錠」で、薬効成分がそのまま製剤名になっています。
これでは区別がつかなくなるために、成分薬剤名のあとに販売会社の名称が加わっています。

例えば【ミルタザピン錠10㎎「アメル」】とか【ミルタザピン錠20mg「サワイ」】などその錠剤のあとに容量(mg)と「 」つきでジェネリックの製薬メーカーの名前がつきます。

つまりジェネリックの数だけ「アメル」が存在することになるのですね。

まとめ -ジェネリック医薬品が持つメリット・デメリット-

レメロンのジェネリック「ミルタザピン」は基本的に成分は同じです。
ただし、製造方法やコーティングに多少の差異はあることがお判りいただけたでしょう。

薬価もレメロンの半値と安く、メリット・デメリットの天秤は「安価であること」と「効果と副作用は変わらないか」ということになります。

日本におけるジェネリック医薬品の承認基準は、他の国と比べて厳しいものとなっています。ですから日本で販売されているジェネリック医薬品は、信頼のおけるものではあるのです。

もちろん臨床試験データで15%前後の差異は認めてはいるのですが、多くの方にとってそれはあまり問題にはなりません。

薬価が安いというメリットは、長期に内服する必要のある抗うつ剤にとってはとても重要なことではあります。
最初からジェネリックであればその心配はないかもしれませんが、先発品から切り替えるときに調子を崩してしまったり、副作用がでないわけではないことは十分認識しておく必要があるでしょう。


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