マイスリー錠5mg・10mgの効果と用法、薬価について

マイスリー錠

マイスリーは2000年から発売されている「非ベンゾジアゼピン系」という種類に属する睡眠薬で、主に睡眠導入剤としての効果を持ちます。


睡眠導入薬「マイスリー」の特徴

マイスリーは眠りに導く効果があるお薬です。

マイスリーには以下のような特徴があります。


  • 即効性があり、寝つきの改善効果がある
  • 作用持続時間は短い

マイスリーは睡眠薬の中でも「超短時間型」に分類されます。

即効性がある代わりに、効果は長くないタイプの睡眠薬になります。

不眠症は大きく分けると、入眠障害(寝付けないタイプ)と中途覚醒(夜中に何度も目覚めてしまうタイプ)に分かれますが、マイスリーのような超短時間型は入眠障害に向きます。

即効性には非常に優れ、服用してから1時間未満で血中濃度は最大になります。

しかし短時間作用だけあって1~2時間で血中濃度は半分にまで下がってしまいます。

睡眠薬の中では効きは穏やかです。

例えば同じ超短時間型の睡眠薬には「ハルシオン(一般名:トリアゾラム)」や「アモバン(一般名:ゾピクロン)」がありますが、これらと比べると効きの強さとしてはやや劣ります。

しかしマイスリーはふらつきやそれによる転倒、せん妄といった副作用は起こしにくい特徴があります。

マイスリーの副作用について

マイスリーは非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

睡眠薬にはいくつかの種類がありますが、マイスリーはその中で「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」という種類に属します。

現在、不眠症治療の中心となっているのは、「ベンゾジアゼピン系」と「非ベンゾジアゼピン系」の2種類の睡眠薬です。

ベンゾジアゼピン系は様々な作用時間の睡眠薬が揃っているのがメリットで、入眠障害に向いているもの、中途覚醒に向いているもの、あるいはその中間の作用を持つものとラインナップが揃っています。

一方で、非ベンゾジアゼピン系は超短時間型の睡眠薬しかなく、入眠障害が主な用途になります。

しかしベンゾジアゼピン系と比べると、ふらつきや転倒の副作用が生じにくいだけでなく、耐性や依存性も少ないと考えられています。

マイスリーの強さと作用時間、半減期

睡眠薬は作用時間によって4種類に分類されます。


  • 超短時間型:半減期が2~4時間
  • 短時間型:半減期が6~10時間
  • 中時間型:半減期が12~24時間
  • 長時間型:半減期が24時間以上

半減期とは、お薬の血中濃度が半分になるまでの時間で、「そのお薬の作用時間」と考えても良いでしょう。

マイスリーは服薬してから1時間未満で血中濃度が最高値になり、その半減期は約2時間になります。

超短時間型睡眠薬に分類され、即効性がありますが長い作用時間ではありません。

ですからマイスリーは寝つきが悪い(入眠障害)タイプの睡眠障害に有効です。

マイスリーの「強さ」

マイスリーの睡眠作用としての指標を数値で表すことはできませんが、有効度高いお薬です。

同じ超短時間型睡眠薬には「ハルシオン」や「アモバン」などがありますが、これらと比較すると効果はやや穏やかです。

参考:睡眠薬の半減期の比較

マイスリーは即効性があり、また作用の持続時間は短いというお話をしました。

より具体的にマイスリーの作用発現時間(服用してから効果が出るまでの時間)や作用持続時間を見るため、他の睡眠薬と比較してみましょう。

名称最高濃度到達時間半減期
ハルシオン1.2 h2.9 h
マイスリー0.7-0.9 h1.8-2.3 h
アモバン0.75-1.2h3.8h
ルネスタ1.0h5h
レンドルミン1.5h7h
リスミー3h7.9-13.1h
デパス3h6h
サイレース
ロヒプノール
1.0-1.6h7h
ロラメット
エバミール
1-2h10h
ユーロジン5h24h
ネルボン
ベンザリン
1.6±1.2h27.1±6.1
ドラール3.42 ± 1.63h36.6±7.26h
ダルメート
ベジノール
1-8h14.5-42h

マイスリーの作用機序

マイスリーの作用機序は、脳のGABA受容体ギャバ受容体のはたらきを強めることによります。

GABAというのは抑制系(脳を鎮静させる作用を持つ)の神経伝達物質です。

マイスリーはその作用を強めるため、脳を鎮静させる作用を持ち、これによって催眠作用(眠らせる作用)をもたらします。

非ベンゾジアゼピン系薬のマイスリー

睡眠薬はベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系とがあります。

マイスリーのような非ベンゾジアゼピン系は、ベンゾジアゼピン系と比べると副作用が少ないという利点があります。

ベンゾジアゼピン系は、GABAが作用する部位であるGABA受容体に作用することで、GABAのはたらきを強めます。

GABA受容体にはω受容体という部位があるのですが、ω受容体にはω1受容体とω2受容体があります。

ω1受容体は催眠作用(眠りに導く作用)があり、ω2受容体はけいれんを抑えたり、不安を抑えたり、筋肉の緊張を緩める作用(筋弛緩作用)があります。

ベンゾジアゼピン系はω1とω2両方に作用しますが、非ベンゾジアゼピン系はω1受容体に選択的に作用します。

マイスリーのような非ベンゾジアゼピン系は、このような機序によりベンゾジアゼピン系と比べて効果はそのままでふらつきや転倒の副作用を少なくしているのです。

またベンゾジアゼピン系も非ベンゾジアゼピン系も「耐性(身体が慣れてきてしまい、効きが悪くなってくる)」「依存性(その物質なしではいられなくなってしまう)」という副作用がありますが、非ベンゾジアゼピン系は耐性・依存性も頻度は低くなっております。

マイスリーの依存性・耐性について

まとめ:マイスリーはこんな方におススメ

不眠には大きく分けると2つのタイプがあります。


  1. 寝付けない事:入眠障害
  2. 夜中起きてしまう事:中途覚醒

入眠障害には超短時間〜短時間型作用型の睡眠薬、そして中途覚醒には中〜長時間作用型の睡眠薬が適しています。

マイスリーは超短時間型ですから、「なかなか眠りに入ることができない」方に向いている睡眠薬になります。

マイスリーを服薬すると、だいたい15~20分くらいで眠気が出現しはじめます。

そのためベッドに入る準備が整ってから内服するのが良いでしょう。

マイスリーの用法と剤型・薬価について

剤型としては5mg錠と10mg錠の二つがあります。
だいたい、最初は5mg錠から内服をはじめ、効きによって増やしたり減らしたりします。

用法

  • 1回5~10mgを就寝直前に経口投与する
  • 高齢者には1回5mgから投与を開始する
  • 1日10mgを超えないこととする

マイスリー5mg錠・10mg錠の使い方

まずは5mgから飲みはじめるのが良いでしょう。

また、5mgだとそこまで強く効きすぎることも少なく、副作用の心配もあまりありません。

もし効きすぎるようならば、半分に割って2.5mgに減らすことも可能です。

反対に効きが不十分であれば、5mg錠を2錠内服して10mgに増やすこともできます。

マイスリーの薬価

マイスリーの薬価は次のようになっています(2018.4月改定)。

  • マイスリー錠 5mg 37円
  • マイスリー錠 10mg 59.2円
マイスリー5mg錠2つと10mg錠1つは同じ?

薬価はマイスリー5mgを2錠よりも10mg1錠の方が安いです。
最初5mg錠を処方されているときには、効果がいまいちであれば2錠内服してその後は10mg錠を処方してもらえばよいでしょう。

人によってはマイスリー5mgをまず飲んで眠りについて、それでも眠れない時のみ更に5mgを追加して服薬するという工夫をされている方もいます。

マイスリー10mg錠

基本的にはまず5mg錠からはじめますが、効きが不十分であれば10mgに増やします。

高齢者では10mgから開始するのは危険です。
ふらついて転倒、骨折、寝たきりというリスクがあるためです。


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