ジェイゾロフトのジェネリックは「セルトラリン」です
ジェイゾロフト錠は、2006年にファイザーから発売された抗うつ剤です。
薬の開発には莫大なお金が必要となるため、発売から何年間かはファイザーに特許があり先発品として独占的に販売できるようになります。
その特許が切れたのちに効果や安全性が新薬と同じと認められてジェネリック医薬品は先発の薬剤(新薬)と同じ有効成分でつくられ販売されます。
ジェイゾロフト錠のジェネリックである「セルトラリン錠」は、発売から9年後の2015年12月に発売となりました。
ジェイゾロフトでなくてジェネリックで大丈夫なのか、ジェネリック医薬品に関する疑問全般についてお答えします。
ジェネリック医薬品とは
最初に開発し、承認後に発売する許可を得た新しい薬効成分を持つお薬を「先発医薬品(新薬)」といいます。
先発医薬品の開発には、十数年にもおよぶ長い研究期間と莫大なコストがかかります。
ほとんどが海外メーカー含め大手の医薬品メーカーに限られてしまいます。
先発医薬品を開発した企業は、医薬品の構造や製造方法、用途について特許権を取得し、特許期間中の20年間はその薬の製造・販売を独占することができます。
先発品の特許が切れ(開発中に特許を取得するので、販売後10年前後で特許切れになることが多い)、他の医薬品メーカーがその技術を借りて製造・販売したものを「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」といいます。
ジェネリックの3つの特徴をみてみましょう。
1.薬価が安い
先発品に比べてジェネリック医薬品の方が薬価が安いというメリットがあります。
どれくらい違うか、飲み始めに処方されるジェイゾロフト錠(セルトラリン錠)25mgで比較してみましょう。
- ジェイゾロフト錠25mg:85.3円
- セルトラリン錠25mg:22.9 - 29.9円
※2018年4月改訂の薬価
50円以上違うので、最低容量の25mg錠でさえも1ヶ月で1500円(3割負担なら実質450円)違います。
最大量100mgともなると結構、負担額に差ががあります。
どうすればジェイゾロフトではなくジェネリックの「セルトラリン錠」として処方されるのかですが、処方箋の「後発医薬品に変更不可」の欄にチェックと医師のサインがされてなければ、自動的に薬局でジェネリックに変更されて出されることが多いはずです。
クリニックによってもしくは医師によってジェネリックに対する考え方に違いがありますが、今は基本的にジェネリック医薬品を可としていることが多いと思います。
2.成分は同じでも製造方法は違う
「セルトラリン錠」は先発品の「ジェイゾロフト錠」と成分は同一ですが、コーティングが異なるので苦みの感じ方や飲み安さが異なることがあります。
ただし同じ薬効のはずなのですが、ジェイゾロフトからセルトラリンに切り替えることであまり調子が良くなくなったとか、副作用が出たということもなくはありません。
これはお薬の製造方法や製剤工夫が会社によって異なるためです。
もちろん先発品と同じように効果の試験をクリアし、血中濃度の変化(薬物動態)も同等になるように設計はされています。
もちろん同じ成分であっても、「ジェネリックで大丈夫なのかな?」と精神的な影響もあるとは思います。
本当に同じ成分・同じ薬効?
先発品の持つ特許のうち、新しい成分に与えられる「物質特許」、その成分に対する新しい効能・効果に対して与えられる「用途特許」の2つの特許が切れてジェネリック医薬品を製造・販売することができるようになります。
ところがあくまでその成分の存在と効能の特許技術を利用するのみであり、先発品が持つ他の特許(例えば製造方法に与えられる「製法特許」、薬を製剤する上での工夫「製剤特許」など)も存在します。
有効期間が残っている場合もありますし、ここまで技術を借りるとジェネリック医薬品なのに先発品と変わらない価格になってしまうかもしれません。
とすれば製造方法や薬のコーティング部分に使われる添加物などを完璧に先発医薬品と同じにすることが実はできないのです。
同じ主成分が同じ量だけ入っていたとしても、実際には薬が吸収される速度や、有効成分が分解される状態が先発品とは多少異なる可能性があるのです。
これによって「効果」や「副作用」の違いが出うるのです。
それでもジェネリック医薬品が先発医薬品と変わらない効果をうたっています。
「有効性の試験」において統計学的に15%の差は「差が無い」としているので、厳密には10%前後の差異があるものとみなした方がよいのです。
3.間違えやすいお薬名
外来で内服薬のことをたずねると「アメルです!」とお答えいただきますが、「アメル」はジェネリック医薬品の販売メーカー名であり、お薬の名前ではありません。
先発品のジェイゾロフトはファイザーの1社から販売されていますが、ジェネリックの「セルトラリン錠」は約20社の製薬会社から発売されております。
名称はすべて「セルトラリン錠」で、薬効成分がそのまま製剤名になっています。
これでは区別がつかなくなるために、成分薬剤名のあとに販売会社の名称が加わっています。
例えば【セルトラリン錠10㎎「アメル」】とか【セルトラリン錠20mg「サワイ」】などその錠剤のあとに容量(mg)と「 」つきでジェネリックの製薬メーカーの名前がつきます。
つまりジェネリックの数だけ「アメル」が存在することになるのですね。
セルトラリン錠の効果と副作用について
まとめ -ジェネリック医薬品が持つメリット・デメリット-
ジェイゾロフトのジェネリック「セルトラリン」は基本的に成分は同じです。
ただし、製造方法やコーティングに多少の差異はあることがお判りいただけたでしょう。
薬価もジェイゾロフトの半値と安く、メリット・デメリットの天秤は「安価であること」と「効果と副作用は変わらないか」ということになります。
日本におけるジェネリック医薬品の承認基準は、他の国と比べて厳しいものとなっています。ですから日本で販売されているジェネリック医薬品は、信頼のおけるものではあるのです。
もちろん臨床試験データで15%前後の差異は認めてはいるのですが、多くの方にとってそれはあまり問題にはなりません。
薬価が安いというメリットは、長期に内服する必要のある抗うつ剤にとってはとても重要なことではあります。
最初からジェネリックであればその心配はないかもしれませんが、先発品から切り替えるときに調子を崩してしまったり、副作用がでないわけではないことは十分認識しておく必要があるでしょう。
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