マイスリーを服薬中の患者さんから「幻覚が出るってネットに書いてあったんですけど、飲んでいて大丈夫でしょうか?」と聞かれました。
通常の内服の仕方であればまず問題にはなりませんが、まれに幻覚を言う方がいるのも事実です。
マイスリーと幻覚についてご紹介しましょう。
マイスリーで幻覚を起こす?
マイスリーは幻覚を起こす可能性はあるが、極めて少ないお薬です。
マイスリーの添付文書を見てみると、副作用の項目に「幻覚」と記載されてはいます。
しかしその出現率は、「0.1%未満」となっており、絶対に起きないとは言えないものの、滅多に生じない副作用になります。
実際、マイスリーを処方している方の中からそのようなケースというはほとんど経験したことがありません。
マイスリーよりも、むしろ他の超短時間の睡眠薬(ハルシオンなど)の方が幻覚が生じる頻度は多いのではないかと思われます。
幻覚はマイスリーに特徴的な副作用ではありません。
ただほとんどの睡眠薬で稀ながらも生じる可能性はあるということになります。
幻覚とは
幻覚というのは、「本来であれば、ないはずの知覚を体験する」症状です。
難しい書き方になってしまいましたが、要は幻の知覚のことで以下のような症状が一般的です。
- 幻視(本来ないはずのものが見える)
- 幻聴(本来聞こえないものが聞こえる)
- 幻臭(本来臭わないものが臭う)
- 幻味(本来感じないはずの味を感じる)
知覚に関する「幻の感覚」は全て幻覚なのです。
実際にマイスリーをはじめとした睡眠薬は全て、稀ながらも幻覚を生じる可能性がありますが、そのほとんどは、幻視(本来見えないはずのものが見える)か幻聴(本来聞こえないはずのものが聞こえる)だと思われます。
マイスリーで幻覚が生じる理由
そもそもマイスリーで幻覚が生じる可能性は稀(0.1%未満)です。
ではなぜ少ないながらもマイスリーで幻覚が生じてしまうでしょうか?
マイスリーに限らず睡眠薬で、幻覚のほとんどが「中途半端な覚醒状態」の時に生じます。
睡眠薬を飲むと、お薬の作用によって脳は鎮静され、徐々に眠気をもよおしてきます。
そのままスムーズに眠れば何の問題もないのですが、お薬が中途半端に効いているような時というのは、脳が中途半端に鎮静されているため様々な精神症状が出現してしまう事があるのです。
強い薬が、中途半端に効くことで幻覚は起こしやすくなります。
効果も強く、即効性もある「ハルシオン(一般名:トリアゾラム)」「ロヒプノール・サイレース(一般名:フルニトラゼパム)」などの方が起こしやすいでしょう。
ただマイスリーのようなお薬でも、使い方が不適切であれば幻覚のような精神症状を起こしやすくなります。
よくあるのが「アルコール(お酒)」との併用です。
他に鎮静系の物質を摂取していると、更に脳が急激に鎮静されたり、中途半端な覚醒状態が作られやすくなるため幻覚も生じやすくなることが考えられます。
お酒は睡眠薬と似たようなところがあり、眠りに導くはたらきがありますので、マイスリーとアルコールを併用していたりすると、幻覚が発症する可能性は高くなるでしょう。
マイスリーとアルコールに関しては以下の記事をご参照ください。
また睡眠薬を服薬後に、脳を覚醒させる行動をしてしまうのも良くありません。
「お薬による脳の鎮静」と「活動による脳の活性化」が拮抗し、中途半端な覚醒状態が作られやすくなり、これも精神症状を発症しやすくしてしまいます。
例えば、睡眠薬を飲んだのにパソコンやスマホ、ゲームをしていたり、睡眠薬を飲んだあとに歩き回ったり人と話したりしている場合は、精神症状は生じやすくなるでしょう。
マイスリーで幻覚が生じてしまった場合の対策
マイスリーで幻覚が生じるのは、不適切な使用をしている場合がほとんどです。
アルコールの併用や、飲んでからもまだ活動しようとするなど問題点があればすぐに修正してください。
そういった理由もなく、幻覚が生じてしまっているようであれば、マイスリーの減薬が変薬をした方が良いでしょう。
中には、わざと大量内服して幻覚を体験しようとする例もあるようですが、幻覚を楽しいと感じることはありません。
それはあとからそのときの体験を楽しいとネット上で表記しているだけですので絶対にやめましょう。
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