イフェクサーSRカプセル

イフェクサーSRカプセル(一般名:ベンラファキシン)は2015年から発売されている抗うつ剤です。
日本では2015年登場という新しい印象の抗うつ剤ですが、海外では代表的な抗うつ剤としてすでに以前から広く用いられています。

世界的には1990年代から使用されているイフェクサーですが、なぜ日本で今まで発売されなかったのかというと、日本で行われた臨床試験においてイフェクサーは「十分な抗うつ効果がある」という結果にならなかったため、2000年代に一度発売が断念されているのです(その後の試験で有用性は確認されています)。

イフェクサーの効果や特徴などについてご紹介しましょう。


イフェクサーの効果と特徴

イフェクサーSRカプセル(一般名:ベンラファキシン)は、SNRIという種類の抗うつ剤になります。

SNRIではサインバルタが有名で、イフェクサーは日本では比較的新しい抗うつ剤となりますが、世界的には1993年に登場し、現在すでに90か国以上で使用される20年以上の歴史を持つ抗うつ剤なのです。

日本で現在発売されているSNRI

  1. トレドミン(一般名:ミルナシプラン)
  2. サインバルタ(一般名:デュロキセチン)
  3. イフェクサーSR(一般名:ベンラファキシン)

SNRIとは「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」のことで、神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを抑える(結果的にセロトニンとノルアドレナリンの活性を増やす)お薬になります。

同時に神経伝達物質「ドーパミン」を増やす作用も認められます。

神経伝達物質

SNRIは、セロトニンを増やすことで落ち込みや不安を改善させるとともに、ノルアドレナリンをも増やす事でやる気も改善させることができます。

そのため特に意欲低下が目立つうつ病の方に良い効果が期待できる抗うつ剤だと言えます。

うつ病では慢性疼痛(慢性的にどこかしら痛みがある、腰痛など)を併発することが多いのですが、神経伝達物質「ノルアドレナリン」は「痛み」にも関わっていると考えられ、この活性を増やすことは痛みにとって改善の方向に作用することがあるのです。

うつ病患者さんの60%ほどは何らかの痛みを伴っているという報告もあり、その観点でもイフェクサーは痛みを伴ううつ病の方にも良い適応となります。

イフェクサーは用量によって作用が異なる

イフェクサーは少ない量(150mg未満)では主にセロトニン再取込み阻害作用が中心となります。

一方、高用量(150mg以上)ではセロトニンとノルアドレナリンの再取り込み阻害作用が強くなるという特徴を持っています。

そのため、意欲低下が強い方や痛みも伴っている方は高用量での使用が望ましいと言えます。

イフェクサーの強さ

イフェクサーは抗うつ剤としてはどのくらいの強さがあるのでしょうか。

抗うつ剤の「強さ」については、日本のうつ病ガイドラインにおいては第一選択で使用される抗うつ剤に優劣はないとされています。


<第一選択となる抗うつ薬>
  • SSRI(パキシル・デプロメール/ルボックス・ジェイゾロフト・レクサプロ)
  • SNRI(トレドミン・サインバルタ・イフェクサー)
  • NaSSA(リフレックス/レメロン)
<初期型の抗うつ薬>
  • 三環系抗うつ薬(トフラニール・トリプタノール・ノリトレン・アナフラニール・アモキサン)
  • 四環系抗うつ薬(ルジオミール・テトラミド)
<その他の抗うつ薬>
  • デジレル/レスリン
  • スルピリド/ドグマチール

ただ実際には、個人差もあり効果の出やすさや副作用の出やすさ、こういう方には合う合わないなど臨床的なイメージを持って抗うつ剤は使用されているのです。

そこで抗うつ剤の強さを比較する1つの目安として、「Manga Study」という抗うつ剤の効果と副作用についてを比較した研究が実はあるのです。

抗うつ剤比較図MANGA

有効性とは抗うつ剤の「強さ」、忍容性とはお薬の「続け安さ」すなわち「副作用が出にくい」と見てよいでしょう。

つまり有効性が高く(抗うつ効果が強い)、忍容性が高い(副作用が少ない)ものがランキングの高い抗うつ剤ということになります。

イフェクサー(ベンラファキシン)は、12種類の抗うつ剤の中で有効性は3位、忍容性は8位です。

忍容性は高くはない(副作用はしばしば問題になりやすい)ものの、有効性は第3位という高い位置付けとなっています。

イフェクサーの適応と用法

適応

日本での適応は「うつ病・うつ状態」です。

一方、海外では以下のような疾患に適応となっています。


  • 全般性不安障害(GAD)
  • 社会不安障害(SAD)
  • パニック障害

その他にも、外傷後ストレス障害(PTSD)、月経前不快気分障害(PMDD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、強迫性障害(OCD)
への有効性も報告されており、さらに適応疾患が広がってくる可能性があるでしょう。

用法

イフェクサーはカプセル剤で2種類の規格があります。

  • イフェクサーSRカプセル(37.5mg)
  • イフェクサーSRカプセル(75mg)

イフェクサーカプセル

「SR」というのはsustained release:徐放製剤じょほうせいざいという意味で、ゆっくりカプセルから薬剤成分が放出されていくような仕様になっており、ゆるやかに効くため副作用が生じにくい工夫がされているのです。

また長く効くため1日1回の服用で1日効果が持続します。

【用法・容量】
通常、成人には1日37.5 mgを初期用量とし、1週後より1日75mgを1日1回食後に経口投与する。なお、年齢、症状に応じ1日225mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として75 mgずつ行うこと。

日本は多くのお薬の用量が海外と比べて体格的な問題もあり、最大量は少なめに設定されています。

しかしイフェクサーは、なんと米国と同じ量まで増量することが可能となっており、これは大きな特徴となります。

<代表的な抗うつ剤の日本と米国の最大量の違い>

パキシル (日本:50mg、米国:50mg)
ジェイゾロフト(日本:100mg、米国:200mg)
サインバルタ(日本:60mg、米国:120mg)
トレドミン(日本:100mg、米国:200mg)

半減期

イフェクサーの半減期(血中濃度が半分に下がるまでの時間)は約9時間前後ですが、1日1回の投与にて定常状態(血中濃度がある程度安定して推移する状態)になることが確認されており、1日1回の服薬で効果が得られます。

イフェクサーの副作用

イフェクサーは神経と神経の間のやりとりを行う神経伝達物質「セロトニン」と「ノルアドレナリン」の濃度を上げることで、抗うつ作用を発揮します。

しかし脳のセロトニンとノルアドレナリンだけにではなく、他の部位にも影響を与えてしまいこれが副作用の正体になります。

抗うつ剤は基本的にセロトニンやノルアドレナリンといいった神経伝達物質をやり取りしていることもあり、共通して以下のような副作用を起こしやすいのです。


  • 抗コリン症状(口渇、便秘、尿閉など)
  • ふらつき、めまい
  • 吐き気
  • 眠気、不眠
  • 性機能障害(性欲低下、勃起障害、射精障害など)
  • 体重増加

抗うつ剤抗コリンめまい吐気眠気不眠性機能障害体重増加
トリプタノール
(三環系)
++++++±+++-++++
トフラニール
(三環系)
+++++±++++++
アナフラニール
(三環系)
++++++++++++
テトラミド
(四環系)
++-++--+
デジレル
レスリン
++-++-+++
リフレックス
(NaSSA)
-++-+++--+++
ルボックス
デプロメール
(SSRI)
++++++++++
パキシル
(SSRI)
+++++++++++++
ジェイゾロフト
(SSRI)
±+++±+++++
レクサプロ
(SSRI)
++++±+++++
サインバルタ
(SNRI)
+±++±++++±
トレドミン
(SNRI)
+±++±+++±
ドグマチール
スルピリド
±±-±±++

イフェクサーの副作用の特徴としては、実は総じて全体的に副作用は少なめで、服用初期の吐き気は比較的生じやすく、不眠や頭痛といったノルアドレナリン系の副作用がやや多めな点が挙げられます。

イフェクサーの副作用各論

Ⅰ.吐き気

吐き気や胃部の不快感といった胃腸障害の副作用を生じる事があります。

これは、脳だけでなく胃腸にもセロトニン受容体じゅようたい(受容体とは神経伝達物質の受け取り口となる部分です)が存在するために生じます。

本当は脳神経のセロトニンだけを増やしたいのですが、お薬は全身に回りますので他の部位にも効いてしまうのです。

胃腸にはセロトニン3受容体というものがあり、抗うつ剤の内服によってこの受容体が刺激されると吐き気が生じてしまうのです。

イフェクサーも例外ではなく、吐き気は起きるものとしていていただいた方が良いでしょう。

幸い胃腸系の副作用は、服用初期に出現する事が多く、長くは続かない事がほとんどで、1~2週間様子をみていれば自然と改善していきます。

対処法

基本的には耐えられるのであれば経過を見るのがベストでしょう。
一時的に胃薬を併用する事もあります。


  • ガスモチン(一般名:モサプリド)
  • ソロン(一般名:ソファルコン)
  • ムコスタ(一般名:レパミピド)

◆胃酸の分泌を抑えるお薬

  • ガスター(一般名:ファモチジン)
  • タケプロン(一般名:ランソプラゾール)
  • ネキシウム(一般名:エソメプラゾール)

Ⅱ.不眠

イフェクサーは深部睡眠(深い眠り)を障害するため、不眠を起こす事があります。

これはイフェクサーに限らず抗うつ剤の持つ、セロトニン2受容体刺激作用による副作用ですのでイフェクサーに限った副作用というわけではありません。
またイフェクサーは覚醒度を上げる神経伝達物質「ノルアドレナリン」を増やすことも不眠の原因となります。

抗うつ剤には「眠気」の副作用もある反面、逆に「不眠」の副作用もあります。

日中眠くなって仕事などに影響がありつつも、夜はいざ眠るとなると浅い眠りになってしまうのです。

不眠の対処法

基本的には以下の対処法が有効です。


  1. 服用時間を変る
  2. 服薬時間を朝食後などにすると改善することがあります。

  3. 減薬する
  4. 鎮静系抗うつ剤に変える・追加する
  5. 四環系やデジレル、Nassa(リフレックスレメロン)などの鎮静系坑うつ剤は通常多くの抗うつ剤にある不眠の副作用はなく逆に睡眠を改善させる作用があります。厳密には深部睡眠を促進するため、深い眠りを導いてくれるのです。こういった鎮静系抗うつ剤は、深部睡眠を促進するため、イフェクサーの不眠の副作用を打ち消してくれるのです。


Ⅲ.眠気

眠気はイフェクサーに限らずほとんどの抗うつ剤で生じうる副作用です。

眠気は、抗うつ剤の持つ抗ヒスタミン作用(ヒスタミンのはたらきをブロックする)が主な原因で、それ以外にも抗セロトニン2作用、抗α作用、抗コリン作用なども関係していると考えられます。

ただイフェクサーは、特に高用量で服薬すると、覚醒度を上げる神経伝達物質「ノルアドレナリン」を増やすため、眠気は比較的生じにくいでしょう。

Ⅳ.性機能障害

性機能障害は相談しずらい症状ですので見逃されがちですが、性機能障害(勃起障害や射精障害、性欲低下、オーガズム障害)を認めることがあります。

この原因は詳しくは分かっていませんが、セロトニンが関与していると言われています。

イフェクサーはセロトニンよりもノルアドレナリンを増やす作用が高いため、イフェクサーによる性機能障害の頻度は他のSSRI/SNRIと比べるとやや少なめです。

性機能障害の対処法

減薬もしくはお薬の変更が対処法となります。
イフェクサーももともと性機能障害の頻度は他より少なめですが、同じく少な目の抗うつ剤としてはNaSSA(リフレックスレメロン)、四環系抗うつ剤(テトラミド、ルジオミールなど)が挙げられます。

またバイアグラに代表されるようなED治療薬も有効です。

Ⅴ.抗コリン症状(便秘、口渇、尿閉)

抗コリン症状とは、抗うつ剤がアセチルコリンという物質のはたらきをブロックしてしまう事で生じる諸症状の総称です。

抗うつ剤といえば、便秘・口が渇くは様々な本や資料に記載されていますが、これらの副作用は「抗コリン症状」とよばれる作用なのです。

口渇、便秘が生じる頻度が多いですが、他にも尿閉、顔面紅潮、めまい、悪心、眠気など多彩な症状が起こります。

ただしイフェクサーをはじめとしたSNRIは抗コリン症状の頻度は少なめです。

抗コリン症状に関して詳細はこちらをご参照ください。

Ⅵ.ふらつき・めまい

めまいやふらつきは、抗うつ剤がα(アドレナリン)1受容体という部位をブロックし、血圧を下げてしまうために起こります。

ただしイフェクサーは覚醒度や血圧を上げる物質であるノルアドレナリンを増やす作用に優れるため、めまいやふらつきの程度は少なく、起こったとしても弱めです。

めまい・ふらつきへの対処法

飲み初めの場合は、1-2週間で改善されることもあるため様子をみます。
改善がない場合には、イフェクサーであれば用量を増やすことで神経伝達物質「ノルアドレナリン」の作用が増強され、この副作用は緩和されることもあります。

他の副作用も重なる場合は減薬し、他の抗うつ剤への変更を検討します。

抗うつ剤のα1受容体遮断作用によってめまいやふらつきが起こるので、これを和らげるお薬としては主に昇圧剤(リズミック、アメジニンなど)が用いることがありますが、薬の副作用に薬を使用することは心理的負担が大きいかもしれません。

Ⅶ.体重増加・太る副作用

体重増加は眠気と同じく、主に抗ヒスタミン作用で生じるため、眠気の多いお薬は体重も増えやすいと言えます。

イフェクサーをはじめとしたSNRIは、代謝を上げる神経伝達物質で「ノルアドレナリン」を増やすため、実は他の抗うつ剤と比べて太りにくくはあるのです。

ただもちろんイフェクサーも体重増加の副作用が出てしまう事はあるので全く太らないとは言えません。

太る副作用への対処法

抗うつ剤は一般的に食欲が増加したり、代謝が落ちることで太りやすくなります。
同じ量を食べていても、抗うつ剤を服用している場合には太ってしまうことがあるのです。

太ってからお薬をやめても、結局食事や運動に気を配らないと元の体重に勝手に戻ることはありません(もちろん勝手に太っていくことはなくなりますが・・・)。

抗うつ剤内服中は、食事や運動に気を配っての予防が何よりも大事なのです。

イフェクサーの離脱症状と減薬

「離脱症状」という言葉は正式名称ではありません。
医学的には「中断症候群」というのが正式です。

なぜ「離脱」という言葉からはアルコール離脱、麻薬・覚せい剤離脱などの「依存」や「中毒」などとは明確に区別されるという意味合いからでしょう。
イフェクサーの離脱症状は依存や中毒ではなく、あくまで中断による一連の症状(症候群)なのです。

ただここではわかりやすく「離脱症状」で説明していきます。

離脱症状による主な症状

離脱症状に特徴的な症状としては、「シャンビリ」と言われているように耳鳴りや電気が走ったような神経痛がメインですがありとあらゆる症状が出現します。


  • 耳鳴り
  • しびれ(電気が走るような感じ)
  • めまい
  • 発汗
  • 発熱
  • 吐き気
  • 震え
  • ソワソワ感

およそ1か月程度内服し続けたのち、減薬もしくは中止後3日以内に起こります。

離脱症状はなぜ起こる?

離脱症状はセロトニンの急激な低下が関係していることは間違いありませんが、その詳細な機序はいまだ不明なところもあります。
もともとイフェクサーをはじめSNRIは、セロトニン量を増やすことで抗うつ効果を発揮するのですが、内服をはじめてすぐに効くのではなく2週間程度してから効果を出し始めます。

これはセロトニン量を増やすことに適応した神経細胞内の適応によるタイムラグが生じることでおこるのですが、どうやらこれが逆にやめたときの離脱症状に関係していると考えられるのです。

ある程度の期間、抗うつ剤の内服を継続していると、身体は 「毎日抗うつ剤は入ってくるもの」と認識し、それに基づいて身体の様々な機能を調整するようになります。
それが、ある日突然入ってこない、あるいは入ってくる量が予想外に少ないとなると身体はびっくりして適応できなくなってしまいます。

その結果、様々な自律神経症状が体に現れ、耳鳴り、めまい、しびれ、頭痛などが生じます。

これが離脱症状の正体と考えられるわけです。

離脱症状は出現するといつまで続く?

離脱症状は2週間(長くても6週間)程度で落ち着きます。
ただし抗うつ剤を再開すればすみやかにおさまるのも特徴です。

他の抗うつ剤との比較

頻度は約20%程度と言われています。

離脱症状は、抗うつ剤の中でも「効果の強いお薬」に多くみられ、それは効果の強いお薬の方が、減った時の反動が大きいためです。

また離脱症状の起こりやすさは一般に半減期の長さによって規定されます。
半減期が短い抗うつ薬ほど離脱症状は起きやすくなります。

※半減期:お薬の血中濃度が半分になるまでの時間で、お薬の作用時間の1つの目安になる。

抗うつ剤の種類
抗うつ剤半減期
三環系トフラニール9-20h
三環系トリプタノール18-44h
三環系アナフラニール21h
三環系ノリトレン18.2-35.2h
三環系アモキサン8h
四環系ルジオミール
マプロチリン
46h
四環系テトラミド
ミアンセリン
18h
SSRIパキシル
パロキセチン
14h
SSRIルボックス
デプロメール
8.9h
SSRIジェイゾロフト
セルトラリン
22-24h
SSRIレクサプロ24.6-27.7h
SNRIトレドミン
ミルナシプラン
8.2h
SNRIサインバルタ10.6h
SNRIイフェクサー9.3h
NaSSAリフレックス
レメロン
32h
その他デジレル
レスリン
6-7h
その他ドグマチール
スルピリド
8h

離脱症状が起こったらどう対処する?

離脱症状はありとあらゆる症状を起こしますが、中でも代表的な症状はシャンビリ(耳鳴りと電気が走ったような感覚)です。

イフェクサーを飲んでいて次のようなことに該当したときにそれが起こります。


  1. 飲み忘れた
  2. 自分の判断で勝手にイフェクサーをやめた・減らした
  3. 医師の指示のもと減薬していて生じた

「飲み忘れた」、「やめた」、「減薬した」
これらは、いずれにせよイフェクサーの内服を再開するしかありません。

減薬・中断すると、だいたい3日以内に離脱症状が出現します。
特に高用量からいきなり中止した際は反動が大きいため、離脱症状も強く起こりやすくなります。

また医師の指示のもと減薬していても残念ながら症状を起こすことはあります。
この場合、我慢できるようならそのまま2週間程度(長いと4週間以上のことも)をやり過ごせれば症状は徐々に緩和していきます。

症状がつらいときは元の量に戻し、そこから再度主治医と相談します。
その後の減薬方法について解説していきましょう。

医師の指示のもと減薬して離脱症状を招いた場合の対処法
いったん減薬を延期

少し様子をみてから、数か月後に減薬してみるとうまくいくことがあります。
これはかなり経験されることですので、一度離脱症状が起こっても怖がらずに再挑戦はできます。

ただし、減薬スピードを初回より落とす必要があります。

減薬する速度を落とす

離脱症状の対処法の基本でもあります。
ゆっくり、慎重にです。

例えばイフェクサー150mgを半分の75mgに減薬したときに離脱症状が出てしまったのなら、一旦37.5mgカプセルを利用して112.5にしてから数週間様子をみて、そこから75mgへ減薬をします。
それでも離脱症状が起こってしまうようなら、交互内服という手も有効です。

例えば1日目は150mg-2日目は112.5mg-3日目は150mg-4日目は112.5mg-・・・・

これを2週間やった後、次の2週間は毎日112.5mg、その次の2週間はまた1日目は112.5mg、2日目は75mg・・・・といった具合です。

また、減薬のペースも大切です。

一般的には2週間に1度のペースで減らしていくのがいいとされてますが、そのペースで離脱症状が出てしまう時は、1か月に1回のペースで減らすのも有効です。

いろいろな方法がありますので、うまくいかなくてもあせらないことが大切です。

離脱症状とうつ病再発を間違えやすい

抗うつ剤をやめていくときに離脱症状が出現すると、一見薬をやめて症状が再発したように思うことがあります。
これによって「うつ病が再発してしまった」「一生薬を飲むのかな」とと落ち込んでしまう方がいます。

伝え方によっては医師も再発と思い込んでしまうことがあります。

「離脱症状」と「病気の再発」は全くの別物です。ここを誤解してはいけません。

離脱症状は「抗うつ剤の血中濃度が急に下がった」ために生じただけで、別に病気が再発したわけではないのです。
再度もとの量に戻せば症状は落ち着きます。

離脱症状はやめてすぐに、再発はやめて数か月たってからということが多いです。

イフェクサーの未成年・小児への使用

イフェクサーは子供(小児や未成年)にも安全に使えるお薬なのでしょうか。

イフェクサーはSSRIと同じく、未成年への投与は効果が確立していないため、「安易に使用しないように」「できる限り使用しないように」という位置づけになります。

以下のような記載があります。

小児等への投与

1.低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する有効性及び安全性は確立していない。

2.海外で実施した7~17歳の大うつ病性障害(DSM-IV※における分類)患者を対象としたプラセボ対照臨床試験において本剤の有効性が確認できなかったとの報告がある。
※DSM-IV:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 4th edition(DSM-IV精神疾患の診断・統計マニュアル)

3.18歳未満の精神疾患を対象としたプラセボ対照試験における、プラセボに対する本剤の自殺行動・自殺念慮のリスク比と95%信頼区間は4.97[1.09, 22.72]であり、本剤投与時に自殺行動・自殺念慮のリスクが増加したとの報告がある。

これらの試験によれば、未成年・小児に対しての効果は確立しておらず、むしろ自殺リスクが増大する可能性が指摘されています。

実際の臨床現場では、どうしても抗うつ剤による治療が必要だと判断される場合には慎重に投与される事もあります。

しかしなるべく抗うつ剤以外の方法(環境調整やカウンセリングなどの精神療法など)で改善を図りたいところです。

イフェクサーの妊婦・授乳婦への使用

イフェクサーは妊婦さんや授乳婦さんには投与して良いのでしょうか。

妊婦さんへの投与は、「やむを得ない場合に限り使用してよい」という位置づけです。精神科のお薬は基本的にはすべてのお薬がこの位置づけになります。

米国FDAが出している薬剤胎児危険度分類基準では、薬の胎児への危険度をA、B、C、D、×の5段階で分類しています。

A:ヒト対照試験で、危険性がみいだされない
B:人での危険性の証拠はない
C:危険性を否定することができない(イフェクサーの位置づけ)
D:危険性を示す確かな証拠がある
×:妊娠中は禁忌(絶対ダメ)

イフェクサーは、このうち「C」です。

そのため、極力妊娠中は使わないようにしますが、やむを得ない場合は使用しながら出産を迎えることもあります。

精神的に不安定な方で無理に減薬してしまうと、より精神状態が不安定になってしまい、その結果良くない結果になってしまう可能性(発育不良や早産など)もあります。

(1)妊娠末期に本剤あるいは他のSSRI、SNRIが投与された婦人が出産した新生児において、入院期間の延長、呼吸補助、経管栄養を必要とする、離脱症状と同様の症状が出産直後にあらわれたとの報告がある。
(2)妊娠ラットにベンラファキシン30mg/kg/日(AUCに基づく曝露量比較で臨床曝露量の約0.4倍)を経口投与したとき、胎児の生存率低下及び体重抑制が認められた。
(3)妊娠ラットに活性代謝物であるO-脱メチルベンラファキシン100mg/kg/日(AUCに基づく曝露量比較で臨床曝露量の約1.7倍)を経口投与したとき、受胎能の低下が認められた。
(4)妊娠ウサギにベンラファキシンを経口投与した実験で、胎児への移行が認められた。

授乳について

では授乳婦さんへの投与はどうでしょうか。

授乳中の婦人には投与を避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。[ラット及びヒトで乳汁中に移行することが報告されている。

イフェクサーは他の抗うつ剤と同じく、1%ほど母乳に移行することが確認されているため、内服しながらの授乳は薬の成分が子供にいってしまいます。

原則望ましくなく人工乳が推奨されますが、母乳栄養は免疫や母子のスキンシップなどのメリットもあるため医師と相談の上、可とすることもあります。

安全に授乳したい場合は、イフェクサーの内服を中止し、薬が完全に抜けるまで1~2週間待ってから母乳栄養を開始するのが良いのですが、出産後や子育ての点からうつ状態が芳しくないのに減薬するのはデメリットが多いかもしれません。



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