パキシル(パロキセチン)で太る?原因と対策

パキシルで太る

パキシル(ジェネリック医薬品:パロキセチン塩酸塩)は「SSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)」に属する抗うつ剤のひとつです。

抗うつ剤の中でもメジャーなお薬ですが、そのパキシルの副作用の中で患者さんからの訴えが多いものに「太る」「体重が増える」というものがあります。

ここではパキシルによって太ってしまう原因とその対処法について解説しましょう。


パキシルは長期に内服すると太る

結論から言うと、「太る」ことが多いお薬です。

ただし体重増加の副作用は服用を開始して突然に出てくる副作用ではありません。

飲み始めてすぐに太るわけではなく、むしろ飲み初めは痩せて、およそ半年程度飲み続けると体重が増えだすという印象です。

数kgの体重増加である事がほとんどですが、中には数年服用して10kg以上太ったという方もいらっしゃいます。

他の抗うつ剤との比較して太りやすい?

抗うつ剤は全般に体重増加が起こるお薬ですが、パキシルは他の抗うつ剤と比べてどの程度太りやすいのでしょうか?

最初に処方される抗うつ剤には以下の種類のものがあります。


<最初に処方されることが多い抗うつ薬>

  • SSRI:ルボックス/デプロメール、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ
  • SNRI:サインバルタ、トレドミン、イフェクサー
  • NaSSA:リフレックス/レメロン

SSRIの中では、最も太りやすいお薬です。

SNRIは全体的にSSRIよりも体重増加の副作用は少なめになります。これはノルアドレナリンというアドレナリン系の物質を増やす作用があるため、代謝が上がり、これによって体重増加が生じにくくなるためです。

NaSSAは第一選択の抗うつ剤の中では体重増加を起こしやすく、太りやすい抗うつ剤で、この点においてはパキシルよりも注意が必要です。

また第一選択の抗うつ薬(SSRI・SNRI・NaSSA)と併用して処方されることもあります初期の古い抗うつ剤である「三環系抗うつ剤」も比較的太りやすいお薬となります。

抗うつ剤の種類
抗うつ剤太りやすさ
三環系トフラニール++
三環系トリプタノール+++
三環系アナフラニール++
三環系ノリトレン++
三環系アモキサン++
四環系ルジオミール
マプロチリン
++
四環系テトラミド
ミアンセリン
SSRIパキシル
パロキセチン
++
SSRIルボックス
デプロメール
SSRIジェイゾロフト
セルトラリン
SSRIレクサプロ
SNRIトレドミン
ミルナシプラン
±
SNRIサインバルタ±
NaSSAリフレックス
レメロン
+++
その他デジレル
レスリン
その他ドグマチール
スルピリド

体重増加してしまう理由

パキシルで太ってしまうのには、主に2つの理由が考えられます。


  1. 代謝抑制作用
  2. 抗ヒスタミン作用

1.代謝抑制作用

代謝が抑えられ、同じ量を食べていてもエネルギーが消費されずにため込んでしまいやすくなります。
抗うつ剤で代謝が落ちて「脂肪や燃えにくい」状態になり、太りやすくなってしまうのです。

特に食事量が増えたわけでもないのに太るのはこのためです。

2.抗ヒスタミン作用

ヒスタミンは神経伝達物質の1つです。
ヒスタミンには食欲を抑える働きがあるので、パキシルがヒスタミンをブロックしてしまうと食欲がでやすくなってしまうのです。

パキシル以外の要因で太ることもありうる!

抗うつ剤にはどうしても太ってしまう副作用のイメージが強くあるようで、数か月内服して体重が増えてくるとどうしても「薬を飲んでいるからしかたない」となりがちです。

しかし精神的に不安定な状態にあるときには、体重増加の要因がいくつかありえます。

まずあまり外に出ることなく閉じこもりがちになることで活動量が減ると、それだけで体重増加のリスクとなります。

もうひとつは過食です。
なぜか食べてしまっているという過食することで衝動を発散させている方が少なからずいらっしゃいます。

たしかにパキシルで太ることはあるのですが、飲み初めには痩せることが多い点、内服を続けて数か月してから太るという点をふまえつつ食事量や活動量に気を配っておくことも必要です。

安易に太ったから中止しようとはしないでください。
体重増加にパキシル以外の原因がないかをしっかりと確認しましょう。

自己判断での服薬中断は大変危険ですので(離脱症状を起こすことがあります)のでしてはいけません。

パキシルで太ってしまった場合の対策

※必ず主治医と相談の上で行うようにしましょう。

パキシルを減薬する

もし状態が安定しているのであれば、 減薬を考えるのも1つです。

ただし抗うつ剤は基本的に十分量を十分な期間(少なくとも9か月以上)服用することが大切です。
ガイドラインでもそのように指針が示されています。

ですから基本的には主治医の先生も内服を続けてもらおうと思われるでしょう。

気になるのであれば太ってしまったこと、体重増加で困っていることを主治医に相談しましょう。
主治医は、あなたの体重増加を重く捉えていないかもしれません。

ちょっと丸くなっただけで気にする方もいますし、まったく気にしない方もいます。
大幅に太ればもちろん問題視しますが、医療者側からすれば病状の安定を優先します。

状態が安定していれば減薬することが可能です。
ただし減薬したからといってすぐに戻るわけではありません。

通常のダイエットと同じように、食事量に注意して身体を動かしていく必要はあります。

抗うつ剤を変更する

第一選択の抗うつ剤(SSRI・SNRI・NaSSA)の中からであれば、パキシルよりは太りにくいという視点では、同じSSRIのジェイゾロフト、SNRIのサインバルタが候補に挙がります。

変更時にもパキシルの離脱症状を起こす恐れがありますし、他の抗うつ剤も太らないわけではないので基本的には減薬して食事に気を付けるのがもっともよい対処法と言えます。

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