コンスタンの依存性と離脱症状

コンスタンの依存性


コンスタン(ジェネリック医薬品名:アルプラゾラム)はベンゾジアゼピン系抗不安薬に分類され、不安を和らげる作用があります。

コンスタンの依存性については有名で多くの方が心配されておりますが、飲めば必ず依存になってしまうわけではありません。

必要な期間のみ正しく使えば依存を過度に心配することはないのです。

コンスタンの依存性について、また依存にならないために気を付けることについて解説します。

※なお「コンスタン」は武田薬品工業株式会社が販売していますが、ファイザー株式会社が販売している「ソラナックス」と同じアルプラゾラムが主成分のお薬で、効果・副作用も同等です。そのため、この記事の内容も「ソラナックス」の記事と同様です。



コンスタンは依存性が強い

コンスタン(アルプラゾラム)に限らず、このベンゾジアゼピン系抗不安薬には全て依存性があります。
その依存性の強さはお薬によってそれぞれ異なります。

コンスタンの依存性はベンゾジアゼピン系の中では「普通」です。
そのため、依存を形成しやすい部類の抗不安薬ではありませんが、注意しながら服薬をする必要はあるのです。

依存というのは、それが無いと落ち着かず耐えられなくなってしまい、常に求めてしまう状態です。

つまりコンスタンへの依存状態となってしまうと、コンスタンがいつも手放せず、飲まないでいると逆に不安が強くなり、服薬を止められない状態のことです。

コンスタンはなぜ依存になることがあるの?

一般にベンゾジアゼピン系抗不安薬における依存の生じやすさは、以下のことで決まります。


  • 抗不安作用が強い
  • 半減期はんげんき(=お薬の作用時間の目安)が短い
  • 服薬している期間が長い
  • 服薬している量が多い

抗不安作用が強ければよく効いている感じがあって、「飲めば大丈夫!」「飲まないとまずい…」となりやすく感覚的に依存になりやすいのはわかりやすいと思います。

半減期とはお薬の濃度がある濃度から半分になってしまうまでの時間のことで、効いている時間(作用時間)と思ってください。作用時間が短いとお薬がすぐに身体から抜けてしまうので、結果的に服薬する回数が多くなり依存しやすくなってしまいます。

また、服用歴が長いほど、1日に飲む量が多いほど、身体がどんどん薬に慣れきっていくため、依存に至りやすいのです。

コンスタンは、抗不安作用がとりわけ強いわけではありませんが、そこそこに作用します。

半減期(作用時間)は半減期は14時間とまずまずの長さを持ち、効果も適度であるため、依存状態になって離脱症状を起こす頻度は普通に起こすことがあり得るのです。

コンスタンの依存症状とは

コンスタンの依存状態が出来上がると、いざ減らしたりやめようとしたときに離脱症状が生じます。


<コンスタンの離脱症状>

  • 不安
  • 恐怖
  • 不眠
  • 吐き気
  • 目のまぶしさ
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • 筋肉のけいれん

これらの症状には個人差があり、症状の種類や程度はまちまちです。

症状が少なく薬を簡単にやめられる程度の身体依存の方もいれば、重い離脱症状に苦しむ人もいます。

残念なことに、離脱症状の存在を医師も「気のせい」と切り捨ててしまうことがあります。

長期に服用することで、新たに引き起こされた症状(離脱症状や副作用)が断薬後も長く残ることを示唆した報告はいくつもあります。

コンスタン断薬法と依存にならないために

依存はひとたび形成されると、簡単には抜けられません。
依存になる前は自分は大丈夫と思いがちなのですが、危険なのはいつのまにか陥ってしまっていることがよくあることなのです。

アルコール依存症の方が、アルコールをやめるのは本当に大変です。
何とかやめれたとしても、多くの方はしばらく経つとまたアルコールを飲んでしまいます。

一度依存になってしまうと、いったんやめてもいつのまにか再度求めてしまっているのです。

依存にならないように注意することが本当に必要なことなのです。
残念ながら処方する側にも問題はあるのですが…。

さて、依存にならないためにはどんなことに注意すればいいのでしょうか?

もう一度依存性を決める薬の特徴を見てみましょう!


  • 抗不安作用が強い
  • 半減期はんげんき(=お薬の作用時間の目安)が短い
  • 服薬している期間が長い
  • 服薬している量が多い

つまりこの要素の反対のことを意識すれば、依存は生じにくいのです。

「効果が弱めの抗不安薬」「半減期が長めの抗不安薬」「服薬期間はなるべく短く」「服薬量をなるべく少なく」ということです。

効果が弱い抗不安薬へ変える

抗不安薬の中で、効果のあるものの中で出来る限り弱いものを選ぶことはとても大切なことなのです。
コンスタンは中等度の強さを持っている抗不安薬である意識が大切です。

強い不安感があってどうしようもないときに、コンスタンを飲むことは間違いではありません。

多くの場合、他の向精神病薬(抗うつ剤や気分安定薬など)と一緒に処方されています。
これらのお薬が効いてきて不安が軽くなってきているのに、いつまでもコンスタンを続けるのは良くありません。

定期的に「コンスタンからより弱い抗不安薬に変えられるか」を意識して相談することは重要なことなのです。

断薬成功のためにはより半減期が長い抗不安薬へ変えるのも手

半減期とは、お薬が代謝排泄されて血中濃度が半分になってしまうまでの時間のことをいいます。
つまり作用時間のイメージです。

この半減期が長いお薬の方が依存にはなりにくいのです。
コンスタンの半減期について詳しくは以下の記事をご参照ください。

コンスタンの半減期は約14時間と、抗不安薬の中でとりわけ短いわけではありませんがより長いお薬への変更は有効です。

例えば、コンスタン(半減期14時間)からメイラックス(半減期122±58時間)に切り替えるのもありでしょう。

コンスタン1.2mg/日を服薬していたとしたら、同程度のメイラックスだと1~2mgくらいになりますので、メイラックス1~2mgへ切り替えます(実際に切り替える用量は症状や主治医の判断によって差があります)。

メイラックスに慣れるため1-2週間はそのまま様子をみます。

その後、メイラックスを1.0mg、0.5mgと減らしていくか、またはメイラックスは半減期が長いので、2日に1回服薬、3日に1回服薬、と休薬する日を作りながら減らしていくと成功しやすいのです。

ひとたび抗不安薬を飲んで、不安が収まったり緊張が楽になったなど実感すると、断薬するのに離脱症状だけではなく薬がないと不安になるなどの理由で大変になるのです。

メイラックスの半減期の長さを利用して、飲まなくてもよい時間を長くすることは精神的な依存を解除するのにも大事な要素です。

服薬期間が長くならないようにする

抗不安薬は漫然と飲み続けてはいけません。

わかっていてもこれが難しいのですが・・・

コンスタンを含むベンゾジアゼピン系は早ければ1か月で依存性が形成されると考えられています。
もちろん個人差や飲み方にもよるので一概には言えませんが、数か月以上飲めば依存形成が生じやすくなるのは間違いありません。

抗不安薬が必要だと判断される一番症状が強い期間に服薬をするのは問題ありませんし、それが正しい飲み方だと思います。

しかしコンスタンは血圧や高脂血症のお薬ではないのです。
内科で処方されるような健康維持のお薬ではなく、いったん薬の力を借りるイメージが必要なのです。

しかしいつの間にか「なんとなく・・・」「やめるのが不安・・・」と服薬を続けてしまいがちです。
これは飲む側だけでなく、処方する医師側もその気持ちになります。

何度も言いますが、基本的に抗不安薬はずっと飲むものではありません。

「量を減らせないだろうか?」と常に検討する必要があるのです。

この判断は非常に難しいですし、あと1か月あと1か月とあとまわしにすればするほど量は減らせなくなるジレンマも存在しています。

断薬成功のための服用量の減らし方

まだ飲み始めて間もない間はお薬をやめることは難しくないでしょう。

ところがすでに数か月以上内服すると、やめたら不安症状が出るのではないかと精神的にやめていくことが不安になってしまうことが多々あります。
またすでに身体依存が出来上がっている場合には離脱症状を起こすこともあるでしょう。

減らしていく量を細かく刻めば刻むほど、反動が少なくなり、精神的な負担も減り、依存状態にあっても離脱症状を起こしにくくなります。

例えば、コンスタン1.2mg/日から0.8mg/日に減薬して離脱症状が出現したのであれば1.0mg/日などを一旦経由してから0.8mg/日に減らすといいでしょう。

専門書によっては「10%ずつ減らしていきましょう」と書いてあるものもあります。

1.2mg/日を内服しているなら、薬0.1mgずつ減らしていくということですね。
減らすのにまた長く時間はかかりますが、細かく減らしていくのであれば精神的な不安も減り、離脱症状も起こしにくくなるでしょう。

剤型の話になりますが、コンスタンの錠剤では細かい調整ができないため、細かく刻んで減薬するならば薬局で錠剤を粉砕してもらって
粉にするのがおすすめです。

減らすスピードも重要で1週間ペースで減薬していって離脱症状がでてしまうのであれば、2週間や4週間ごとに量を調整するなどしてみるのも有効です。

断薬成功の鉄則は 「できる限り少しずつ、ゆっくり」 です。

服薬量をなるべく少なく

不安でそわそわしてしまうと、つい「コンスタンを飲んで楽になりたい」「早く不安発作をおさえたい」とお薬を飲みたくなります。
しかも効きがいまいちなかんじがするともう少し飲んでみようかと考えてしまいます。

しかし、服薬量が多ければそれだけ依存になりやすくなります。

服薬量は、必ず主治医が指定した量を守ってください。
とはいってもこれがとてつもなく難しいのですが・・・

せめてどれだけ飲んでしまっているかは主治医に申告はしましょう。

本当にたまにある不安発作の方を除いて、抗不安薬はそれ単独で治療作用のあるお薬ではありません。
あくまで対症療法であり、不安そのものの治療は向精神病薬のお仕事なのです。

多量に服用しなければならない状態であれば、増やすべきはコンスタンではなく抗うつ剤や気分安定薬、抗精神病薬の方なのです。

とは言いつつも依存を過剰に怖がる必要はない

抗不安薬や睡眠薬の依存は社会問題にもなっておりメディアでもしばしば取り上げられます。

「依存が怖いから精神科のお薬は飲みたくない」と言う方も多いように感じます。

精神科のお薬を飲むと絶対に依存になるわけではありません。

注意をする必要があるだけです。

一番いけないのは漫然と念のため飲み続けることです。
医師側にも問題はあって、とりあえず「そのままお薬だしておきますね!」になってしまっているのです。

医師の指示通りの量を決められた期間だけ服薬していればいいのですが、医師によっては依存性のことをいつの間にか忘れてしまう場合もありますので自身でも減らせるか、やめれるかを考えながら飲むことが大事なのです。

依存になりやすいのは以下のパターンです。

  • 勝手に量を調節する
  • 「薬をやめるのが不安」と現状維持をやみくもに希望する
  • 他の方が薬を取りに来る

アルコールに依存性があることは皆さんご存知かと思います。

でもアルコールは依存にはなる可能性がある物質だけど、適度な飲酒を心掛けていれば依存になることはないということも知っています。
そしてほとんどの人は節度を持った飲酒が出来ており依存にはなりません。

アルコールとベンゾジアゼピン系抗不安薬のどちらが依存性が強いか、というのは研究によって様々な結果が出ていますが、おおむねの印象としては「ほぼ同等か、アルコールの方が若干強い」と思われます。

コンスタンもアルコールだと思ってください。
一日中飲んでいたらおかしいですよね?

不安症状をお酒の力で飛ばすのと同じ(と言ったら怒られそうですが)と考えると、これに頼っていてはいけないと考えられますね。

コンスタンを正しく服用することが大事なのです。

それは、コンスタンは漫然と飲み続ける薬ではないことを自身でもしっかり認識しておくことです。
向精神病薬が一緒に処方されているはずなので、そちらをメインにコントロールしてできれば数か月以内に減らしていく処置が必要になります。

飲んで効いたかどうかを気にするとコンスタン以外のお薬に変えていったり量を減らしたりできなくなってしまいます。

お酒と同じで、いつもほろ酔いの気持ちいい感覚を求めてはいけませんよね。
効いたか効かないかわからないけど前よりは少しいいかも程度を意識していきましょう。

依存から抜け出すのはかなり難しく、予防が最重要なのです。

関連記事

  1. コンスタンの副作用

    コンスタンのよくある副作用と添付文書で確認できる副作用

  2. コンスタンとお酒

    コンスタンとお酒・アルコールを一緒に飲んではいけない?

  3. コンスタンによる眠気

    コンスタンによる眠気と対策

  4. コンスタン錠

    コンスタン錠の効果と強さ、半減期について。これらを理解してコ…